東北大学 文学部 学部案内 2025年度入学者用
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 従来の日本研究では見過ごされてきた「日本」の実像を新たな視点から再構成することを目指し、「学際化」と「国際化」を2本の柱とした研究・教育をおこなっています。研究テーマは、過去の時代の風俗、現代の社会問題、伝統的な文芸作品、ポップカルチャー、宗教、思想など多岐にわたります。学問分野の垣根を取り払って柔軟な発想で研究することを重視して、学生自らが魅力的な研究対象を見つけて、その対象をあつかうための研究方法(資料やデータの集めかたや分析の仕方、具体的な知見を抽象化・一般化していくための概念や理論など)を身に付けることができるよう、2人以上の教員による個別指導の機会を多くとり、専修全体として、多様な学問に取り組むメンバーが自由な議論を活発に展開できる研究コミュニティとしての機能を果たすように考えています。また、国際的な日本研究のためには海外から「日本」を見る視点との往還が不可欠であるという考えから、海外留学や留学生との交流を学生時代の経験の柱とする教育指導をおこなっています。 日本思想史学は諸外国や諸民族との対比において、「日本」的なものの考え方や価値観の形成過程とその独自性を、歴史的な視点から客観的に明らかにしようとする学問です。この列島上で展開された、古代から現代までのさまざまな思想的・文化的な営みを広く明らかにすることによって、「日本」とは何か、「思想」とは何か、「歴史」とは何か、といった問題を探っていくことを目的としています。 東北大学の日本思想史専修は、この分野の草分け的な存在として、大正12年の開設以来、一貫してわが国の日本思想史研究界の中心的役割を担い、多数のすぐれた研究者を国内外に送りだしてきました。研究室には多くの大学院生、各国からの留学生が在籍し、また卒業生は、教育界や公務員の世界をはじめ、商社・銀行・マスコミ・出版等の企業社会などでも、活躍しています。 本専修では授業のほかにも、定例研究会や史料講読会の開催、学術雑誌の刊行、花見・芋煮会など、大学院生や学生主体の活発で多彩な活動が行われています。 日本文学は、古代から現代にいたる、きわめて幅広く多様な日本の文学(文芸)を研究の対象とします。日本文学の研究にはさまざまな立場や方法がありますが、東北大学日本文学研究室では、文芸を芸術の一種と捉える見地に立ち、日本文芸の様式・特質・展開を明らかにするとともに、その意義を世界文芸との関連において探究することをめざして、活発な研究と教育が行われています。 本研究室には、多くの大学院生、外国人留学生も在籍しており、新たな見方・考え方・知識を得る機会にも恵まれています。また、卒業生も、国内・海外の学界・教育界・図書館・ジャーナリズム・出版界・官公署・企業など多方面で活躍しており、卒業生と在校生から成る「東北大学国文学科杜の会」も組織されています。さまざまな人との貴重な出会いと交流の中、本研究室で着実に多彩に柔軟に日本文学を学ぶことをとおして、幅広い視野から新たな発想で文化・社会を深く理解する力を身につけることが期待されます。 人文社会科学は人間と社会についてさまざまな角度から考える学問です。その中で歴史学は過去を対象にします。日本史学にあっては、日本の国家と社会、およびその構成員であった人々のさまざまな活動と、そこから生み出された文化、そして様々な国や地域・民族との関わり方などの歴史的展開を研究対象としています。大学で歴史学を学ぶことは、既成の歴史的知識や歴史像を覚えこむことではありません。過去の人々が生活や社会的営みのなかで生み出し今日に伝わっている文書や記録を主たる史料とし、その読解と分析を通して自身で歴史像を組み立て、物事を長い時間の流れのなかで考える能力を培うことに教育の主眼をおいています。 本専修は学界・教育界や文化財保全の分野に多くの人材を送り出しており、近年は官公庁や企業に就職する人もふえています。どの道に進むにせよ、学生時代に培った、自身で調べ、考え、表現する能力は大いに役に立つはずです。8 Laboratory IntroductionInnovative Japanese StudiesHistory of Japanese ThoughtJapanese LiteratureJapanese History研究室紹介■■■■■■■■■■■■■■■■■

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