35博士の学位(博士号)は、主体的・自立的に研究を行う力を証明する■研究の免許証■です。大学や公的研究機関で研究者として働くためには、博士号は必須です。また、民間企業で研究開発に携わったり、国際的な舞台で専門家として活躍するためにも、博士号の取得が重要です。本研究科を卒業した先輩方の中には、博士号を活かして、様々な職場で活躍している方がたくさんおられます。先輩の背中をおいかけて、博士号取得にチャレンジしてみませんか。■進学・就活ハンドブック■では、これまでの進学実績や就職実績を土台として、理学部・理学研究科での日々が将来にどのようにつながっていくのか、写真やイラストを交えて解説したり、学生やOGOB、さらには保護者の声を借りて説明しています。気軽に読めるコンテンツばかりです。ウェブ版もあるのでどなたでも気軽に読むことができます。学外の方々(特に本学部への進学を検討中の高校生のみなさま)にもぜひ読んでいただきたいと考えております。ぜひともご一読ください。https:/■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■高山 あかりさん理学研究科物理学専攻平成24年度博士課程後期修了早稲田大学講師(専任) 所属横内 優来さん理学研究科化学専攻平成30年度博士課程後期修了ダウ・ケミカル日本 所属理学とは、自然界のなぜ?を解き明かす学問です。私は前期・後期課程の5年間を東北大学大学院理学研究科物理学専攻に在学し、実験系とりわけ■物性■を研究する研究室に所属していました。物性物理学の分野では、新しく発見された物質が■電気が流れるか?磁石にくっつくか?そうなる原因は?■ということを研究しますが、研究と勉強は大きく違います。過去の先人たちが発見、解明した現象を学んで知識を身につけるのが勉強であるならば、未知の現象を自ら解き明かすのが研究です。誰も答えを知らない現象を解明することはとても難しいものです。正確な実験結果を得るには、どのような手順で実験を行えば良いのかを自分で考えなくてはいけません。また、得られた実験結果を正しく理解するには、勉強して得た知識をフル活用して整合性を考えます。時には実験結果にエラーが含まれることもあるので、冷静さと客観性を持って結果に向き合います。これらの過程で、論理的思考力や問題解決力が鍛えられます。さらには、新しい物質を作ったり新しい現象を説明するためには、新しいアイディアを思いつくことが大事です。ここで独創性が養われます。解明した研究結果を論文によって広く世界中に公開すると、世界中の専門家と議論を交わすためにコミュニケーション能力が求められます。 文字にすると大変そうに思いますが、理学部では必然的にこれらの能力、そして経験値と忍耐力も身につきます。私は今、大学教員として物理を教えています。大学院での研究経験を土台として、自分自身が研究を行いつつ、学生の能力が伸びるような指導を目指しています。理学の醍醐味は■この真実を知っているのは世界に自分しかいない、という瞬間が必ずある■ということだと思います。理学部が、研究の達成感と感動を味わえる最高の舞台を用意して待っています。 私は、もともと好奇心の赴くままに物事を深堀りする力、いわゆる探究心が強い性格です。大学院、特に博士課程では、これを根っことして新たに研究を俯瞰する力が培われたと思います。 研究では、たんに目の前のデータを正確に理解するだけではなく、そのデータの持つ学術的な意義や価値を見抜き、それを世界に発信するために、研究分野だけにとどまらない広い視野・高い視座が求められます。私自身は、論文を執筆する過程を通して初めて自分の研究を俯瞰で捉えることを経験し、自分自身で新たに研究課題を設定することや、研究成果の価値を理解する力が身に付いたと実感できました。私の場合は、博士課程に進学したからこそこうした研究の醍醐味を知ることができ、また研究者として大事な素養を身に付けることができたと思います。 また、民間企業の研究開発職というキャリアパスに関して言えば、大学院で習得する専門知識や実験スキルのような研究の基礎力は、企業での業務に確実に活かせます。さらに、先に述べた探究心や研究を俯瞰する力があれば、研究開発の過程で様々な困難に直面した時に、的確な判断を下せるのではないかと考えています。こうした力は、就職後に強く求められる力の一つだと思います。また少し話はそれますが、研究活動はプロトコルが確立されているため、多少の差はあれ毎日同じことをします。毎日の反復の中で嫌でも自分の長所や短所と向き合うことになります。研究を進める中で自然と自己理解を深めることになるので、研究に真摯に向き合うことが、就職活動の準備にもつながるかもしれないと思います。先輩博士からのメッセージ理学研究科独自の博士進学・博士就職東北大学理学研究科は博士進学の促進に力を入れています。研究科では、学生の皆様ができるだけ経済的な負担を抑えた形で博士に進学できるような経済的支援の充実と研究を通して身につけた力を就職やその後のキャリアで活用できるような独自のキャリア支援を博士学生に提供しています。おすすめコンテンツ:親子で読む進学・就職ハンドブックキャリア支援│Career Support
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