Message“材料”は高校生にとって未知の分野AI、機械、宇宙開発や災害にも材料研究が密接につながっている高校生に材料科学の面白さや重要性を伝えるために、15年ほど前から高校に出向いて出張講義を行っています。高校生に講義をすると、はじめのうちは材料とは何か、ピンとこないようです。AIや機械、宇宙開発、災害の研究には興味をもっている生徒が多いのですが、それらと材料研究が密接につながっていることは残念ながらあまり知られていません。しかし、講義が終わると「材料はすごく面白い」「大きな可能性がある」「魅力的な分野」と目をきらきらさせて嬉しい感想を言ってくれます。つまり、高校生にとって、材料は未知の分野なのです。次世代航空機、先端医療、災害予防などには新素材開発やその信頼性評価など製品になる前の“材料”という研究高村 仁 教授[大学院工学研究科|知能デバイス材料学専攻] 静岡県出身。学部生から東北大学で学び、2011年より工学研究科・教授。専門は、イオン伝導体・混合導電体などの機能性セラミックス材料の開発と燃料電池や二次電池などエネルギー変換デバイスに関する研究。分野があると知ることで、視野が広がるようです。本学科は、新素材の研究開発だけでなく、デバイス応用、AIを活用して新素材を開発するマテリアルズ・インフォマティクス、他にもかなり多くの分野・領域が存在し、アプローチも相当に広がりがあります。化学と物理を応用し、ものづくりのマインドを付加させたものが新材料の研究であり、それは宇宙開発にもAIにも繋がるのです。材料がものづくりで挑戦できることは無限に広がります。材料の研究は、物理・化学・数学などの基礎学問をもとに実験と検証を繰り返し進めていきます。材料研究では予測とは異なる結果が出ることも多く、素材の組み合わせやアプローチを変え、挑戦し続けることに醍醐味があります。研究を成功させるためのモチベーションの基には、「科学が面白い」と感じる純粋な気持ちがあるものです。楽しい、面白い、興味があるというポジティブな意識が、知識や専門性、独創性を伸ばす土台となるのです。いまは経験したことのない災害や感染症の流行などの社会情勢の中、これまで以上に未知な世界と対峙しています。本学科で学ぶ学生には、「材料の研究」を通して、さまざまな状況でどこにでも通用する高い専門性や、ひらめきやアイデアを大切にした独創性を身につけることで、いまの社会を渡り歩く力が備わると思います。本学科で学べること興味を持ったことを深く探求する力、高い専門性と独創性が身につく高村 仁 教授高校生に伝えたいこと
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