インド・ヨーロッパ語族の一分派であるアーリヤ諸部族がインド進出以前にもっていた言語文化の背景から、インドに発して、チベット、東アジア、また東南アジアに展開した仏教に至る、3000年を超える時代を対象とします。ヴェーダ、ウパニシャッド、マハーバーラタ、ヒンドゥー教典、古典文献(文学、哲学など)と、初期仏典、大乗経典、論書、密教経典などの仏教文献とを中心に、厳密な原典研究を目指しています。授業では文法書や研究書を参照しつつ、基礎的な原典を読みます。遙か昔に遠い地に生きた人々が遺した文献は、人生、死後の問題、世界、宇宙の構成などに亘って真剣な思考と議論の跡を伝え、現代の私たちにも直接訴えかける人類の古典です。かの地で確立し我が国に伝わった「業」や「輪□」などの諸概念を源から□ることができ、他方、ヒンドゥー社会独特の人生観や価値観を学ぶことができます。恵まれた環境で、人類史という普遍軸を頭の中におきながら、国際協力の伝統を誇るこの分野に挑戦する有為な若者を待っています。 欧州全体を包んでも余りある広々とした大地のうえで、悠久の歴史を持つ中国社会は変化に富む豊かな文化を生み出してきました。その多種多様な文化の個別的内容や特徴、あるいは他の諸地域の文化との間の共通性や異質性などについて、文献を読みときながら研究をおこなう学問の一環として、特に中国思想という学問分野では、人々が営んだ思想に光をあててそれらの具体的様相や歴史的意味、さらには現在的意義を追究してゆきます。中国の思想は、古くから日本人の生き方や考え方に大きな影響を与えてきた観念の体系として、現代日本人の意識にもその奥深いところで強く働きかけています。中国の思想的文献との真剣な対話を通して、人間の本性や運命、社会の在り方などに関する中国人の思想それ自体はもとより、これらの諸問題をめぐる彼我の異同をも考えてゆこうと志す学生を歓迎します。12Religious Studies 本州最北端、下北半島の恐山は死者の霊魂が集まる山といわれ、7月下旬の大祭時には多くの参詣者で賑わう。その境内の一角に五体の石仏が並んでいる。その石仏に赤い帽子と赤いヨダレカケをつけている老婆に「この仏サンは何。そして何をしているの」と尋ねた時のこと、即座に「お地蔵さんだよ。赤ん坊の時に死んでしまった子どもの供養に来たのさ」と答えが返ってきた。老婆は亡き子のために一心に祈っている。しかし実は、この石仏は地蔵ではない。五智如来といって、仏教的にいえば子どもを守ってくれる働きをもつ仏ではないのである。さてこのような場面をどう考えたらよいのであろう? 教義に則った信仰こそが本当の信仰なのだろうか、それとも間違った対象にであれ一心に祈っている老婆の「信仰」が本当の信仰なのか? 宗教学研究室では、このような問題をデスクワークとフィールドワークを併用しながら研究しています。関心があれば、研究室のウェブサイトをご覧下さい。Chinese Literature 空間的にはアジア大陸のほぼ東半分。時間的には紀元前十数世紀から現在に至るまで。 そこに繰り広げられる言語と文学の営為を、わが研究室は対象とします。時空の範囲が広い上、記録を重視する文化背景があるために、書記言語・音声言語ともさまざまな変遷と交流の軌跡を示し、文学も、百を優に越すジャンルを擁します。 学生は、まず基礎的な漢文読解力を身につけていきます。また、広く文学史を学びますが、この時、高校までの漢文ではお目にかかることのない、ジャンルと作品に数多く触れることになるでしょう。4年生になる時、これらの中からもっとも関心を引く対象を選択し、必要な原典を、漢文・中国語・日本語を駆使して解読しながら、卒業論文としてまとめます。また、語学力のスキルアップを目指し、中国語圏へ留学する機会もあります。 卒業後は高校・中学の教師になる人・大学院に進む人のほか、培った語学力を生かして、中国市場に進出する企業や、マスコミ(出版社・新聞社・TV局)や役所で活躍する人もいます。研究室紹介 Laboratory IntroductionIndology And History of Indian BuddhismChinese Philosophy□□□□□□□□□□□□□□□□□□11111010121299
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