東北大学 文学部 学部案内 2026年度入学者用
8/24

 日本思想史学は諸外国や諸民族との対比において、「日本」的なものの考え方や価値観の形成過程とその独自性を、歴史的な視点から客観的に明らかにしようとする学問です。この列島上で展開された、古代から現代までのさまざまな思想的・文化的な営みを広く明らかにすることによって、「日本」とは何か、「思想」とは何か、「歴史」とは何か、といった問題を探っていくことを目的としています。 東北大学の日本思想史専修は、この分野の草分け的な存在として、大正12年の開設以来、一貫してわが国の日本思想史研究界の中心的役割を担い、多数のすぐれた研究者を国内外に送りだしてきました。研究室には多くの大学院生、各国からの留学生が在籍し、また卒業生は、教育界や公務員の世界をはじめ、商社・銀行・マスコミ・出版等の企業社会などでも、活躍しています。 本専修では授業のほかにも、定例研究会や史料講読会の開催、学術雑誌の刊行、花見・芋煮会など、大学院生や学生主体の活発で多彩な活動が行われています。 これからの日本は、異なる文化背景を持つ人々とともに生活し新たな社会をつくる共生社会の時代です。今後より一層多様化、グローバル化の進む社会において、「ことば」は人と人をつなぎ、社会をつくりだす原動力になります。本専修では、多様な日本語学習者に応じた学習環境をデザインできる優れた日本語教員を育成するだけでなく、異なる文化背景をもつ人同士の関わりに際して、互いに人として尊重しあいながら、課題を共有し、ともに解決していくための資質・能力を備えた国際的な人材の育成を目指しています。 本専修の学生は、多様な文化背景の留学生とともに、明るく自由な雰囲気のもとで、日本語や日本語の学習・教育について学び、言語や教育に留まらない広い視点から日本社会への理解を深めます。そして、日本語教育学実習では、これらの総合的な知識や経験を生かして日本語コースをデザインし、日本語学習者に教えるという貴重な体験をします。なお、本専修は国家資格「登録日本語教員」の養成課程として認定されています。 卒業生は、国内外の日本語教員や大学院進学という進路のほか、公務員、学校教員として、あるいは一般企業においてその専門性を発揮し、多方面で活躍しています。8History of Japanese ThoughtApplied Japanese LinguisticsInnovative Japanese Studies 従来の日本研究では見過ごされてきた「日本」の実像を新たな視点から再構成することを目指し、「学際化」と「国際化」を2本の柱とした研究・教育をおこなっています。研究テーマは、過去の時代の風俗、現代の社会問題、伝統的な文芸作品、ポップカルチャー、宗教、思想など多岐にわたります。学問分野の垣根を取り払って柔軟な発想で研究することを重視して、学生自らが魅力的な研究対象を見つけて、その対象をあつかうための研究方法(資料やデータの集めかたや分析の仕方、具体的な知見を抽象化・一般化していくための概念や理論など)を身に付けることができるよう、2人以上の教員による個別指導の機会を多くとり、専修全体として、多様な学問に取り組むメンバーが自由な議論を活発に展開できる研究コミュニティとしての機能を果たすように考えています。また、国際的な日本研究のためには海外から「日本」を見る視点との往還が不可欠であるという考えから、海外留学や留学生との交流を学生時代の経験の柱とする教育指導をおこなっています。Japanese Linguistics 日本語学は、私たちが日々接し、使用している現代の日本語とともに、過去から現代への変遷、および時を共にする現代における地理的、社会的バリエーションとしての日本語を研究対象とする学問です。国語学とも呼ばれています。 日本語は、現代の言葉、多様に変化する若者語、そして過去の時代における日本語、その歴史的変遷、さらには、地理的分布としての方言など、多様な面から研究が行われています。言語構造の上からは、音声・語彙・文法・文章・会話・文字・言語行動等の研究分野があり、理論的かつ実証的に研究されています。言語と社会、言語と人間、場面、媒体など、多くの隣接領域に接しています。方法論には、文献調査、実地調査等のフィールドワーク、コンピュータを用いた大規模な言語調査や精密な音声分析も含まれます。 学生同士による勉強会、教員を交えての行事など、多彩な活動が行われています。世界各地からの留学生が多く、毎年10人以上の外国人留学生が在籍しています。 卒業後は、研究・教育に従事する者が多いですが、専門をある程度生かしながら放送・出版関係、官庁、一般企業等で活躍する場合もかなり見られます。研究室紹介 Laboratory IntroductionTohoku University, Faculty Of Arts And Letters 2026□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□11332244

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る