28東北大学 薬学部/東北大学 大学院薬学研究科 2026TOHOKU UNIVERSITY 分子細胞生化学分野 Molecular and Cellular Biochemistry 教 授 井上 飛鳥 Inoue Asuka細胞の「情報処理」を解明し、新しいくすりを作る くすりはどのような仕組みで治療効果を発揮するのでしょうか?現在、医薬品として1200種類以上の薬効成分が認められていますが、そのうち約3分の1の薬効成分はからだの中の特殊なタンパク質の一群のいずれかに作用して、薬効を発揮することが知られています。このタンパク質はGタンパク質共役型受容体(GPCR)と呼ばれていて、本来は細胞表面のセンサーとして細胞の外の環境変化を細胞内へ情報を伝える役割があります。くすりはこの情報センサーの機能を調整することで、病気の時に機能が変化した細胞の機能を正常化します。私たちの研究分野では、くすりがどのようにGPCRの情報センサー機能を変化させるか分子レベルで明らかにする研究を行なっています。この研究成果はより薬効の高いくすりや安全性の高いくすりの開発に貢献します。 薬物送達学分野 DDS Design and Drug Disposition 教 授 秋田 英万 Akita Hidetakaナノ粒子を基盤とした薬物動態制御技術が拓く次世代医療 くすりは、効いて欲しい臓器へ運ばれてこそ効き目が表れます。しかし、生体には外界から異物が入り込むことを防ぐ生体膜バリアが働いており、特に脳などでは薬が届きにくくなっています。また、生体内の免疫システムは、生体にとって不可欠ですが、その異常は癌の治療効果を妨げたり、自己免疫疾患を引き起こす原因となります。そこで、薬物送達学分野では、生体膜バリアを形成するタンパク質を明らかにし、これらを利用しながらくすりを届ける技術を創出したいと考えています。また、RNAなど、新たな医療用分子として注目されている核酸分子を細胞内の適切な部位に届けるためのナノ粒子を開発し、生体内における遺伝子の発現や免疫応答を制御することができる新たな医療原理を開拓したいと考えています。 衛生化学分野 Health Chemistry 教 授 松沢 厚 Matsuzawa Atsushiストレス応答の仕組みの解明から創薬へ 生体のそれぞれの細胞は、温度変化や紫外線、活性酸素や病原体など、常にさまざまな環境変化(ストレス)にさらされています。細胞は、このようなストレスを情報(シグナル)として正確に感知し、すばやく応答することで、生きていくことができるわけです。このストレス応答の仕組みが正常に働かなくなると、病気や死につながります。私たちは、このストレスのシグナルがどのような分子によって感知され、適切な応答へと変換されるのか、その仕組みを明らかにすることで、がんやアレルギー、臓器障害などの病気の原因を探り、最終的にはシグナル分子を標的として、それらを治療できる薬を創ることに直接つながる研究を行い、新しい薬学研究分野の開拓を目指しています。くすり分子薬効・副作用GPCR(情報センサー)細胞内情報機能発揮タンパク質細細胞胞 シグナル (情報) 細細胞胞膜膜のの修修復復 免免疫疫応応答答 抗抗酸酸化化物物質質のの産産生生 遺遺伝伝子子のの修修復復 感感知知 病病原原体体感感染染 活活性性酸酸素素 温温度度変変化化 紫紫外外線線 放放射射線線 ストレス (環境変化) スストトレレスス応応答答 変変性性蛋蛋白白質質のの除除去去 ストレス応答シグナル分子 薬の標的 ごあいさつ薬学部概要カリキュラム創薬科学科薬学科講義内容大学院分野(研究室)紹介卒業・修了後の進路など入試情報・奨学金教育研究施設組織図オープンキャンパスキャンパスマップ
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