東北大学 工学部 建築・社会環境工学科 社会基盤デザインコース/水環境デザインコース/都市システム計画コース
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個性に応じた研究課題地球環境の医師になりませんか?教 授 佐 野 大 輔(静岡県立静岡高等学校)日常生活の中で,シャワーや洗濯,料理などで使用する水を供給する上水道と,使用後の水を速やかに住環境から排除する下水道は,我々が享受している清潔かつ便利な生活の基盤を支える極々基本的な社会インフラです。この上下水道システムを,現状のレベルで未来に向けて維持していくことが可能かどうか,考えてみたことはあるでしょうか。どこか遠い国の話ではありません。皆さんが普段生活しているこの日本においても,実は上下水道システムを将来に渡ってしっかり維持できるかどうか,不安視されているのです。震災を経験された方々は,上下水道が使用できない状況の不便さを身をもって経験されたと思いますが,同じ状況が日常生活の中でも起こりうるとしたらどうでしょう?もちろん,上下水道事業に関わる専門家は,そのような状況を前に様々なアイデアを出し,上下水道システムの持続可能性を確立しようと日々努力を続けています。しかしながら,上下水道システムの稼働に多大なエネルギーを使用する以上,カーボンニュートラルの視点を無視することは不可能ですし,自然界から水源を得て,使用後は下水処理水として自然界に放流している以上,自然界における生態系から目を背けることもできません。そのため水環境デザインコースでは,土木工学の基本である物理に加え,環境中における物質変換や生態系を理解するための化学と生物に関わるカリキュラムを採用することで,地球上で発生している環境影響の種類と規模を分析し,その処方箋を作り出すことができる「地球環境の医師」を育てることを目指しています。勉強しなければならないことの幅が広いですが,新しいことはいつも分野間の境界で生まれます。地球環境の医師として,未来社会を創るための知的競争へ,一緒に参画しましょう。本コースの研究は多様である。これがキーワードである。テーマとして,河川や海岸の自然現象の解明,リモートセンシングや測器の観測技術開発,土砂や栄養塩動態地図の作成,乱流や土砂移動の理論構築,微生物や植物を用いた水処理技術開発,津波や洪水のコンピューターシミュレーション,災害時の避難解析,干潟や湾,湖の水の流れと生物相の評価等が行われている。また,複合領域が多くあり,横断的な共同研究も実施されている。本コースの気候変動,災害,水質,生態に関する研究は世界をリードする領域である。研究の手法は,フィールド観測,実験,計算機を使った数値計算,理論解析等である。研究対象は,実験室内のミクロな世界,河川,河岸の観測地点,流域,国内全域,世 界 と 幅 広 い。こ の よ う に 多 く のテーマが様々な切り口と手法で実施されている。多様なテーマの中から個人の性格にあった研究を選ぶことができる。その結果として,個々が国際的にも高いレベルの研究成果を発表している。 モデリング生物生物物理物理理論・解析水環境研究水環境研究化学化学観測・実験研究 紹介教員 紹介Water and Environmental Studies

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