FEATURE大学は先人の智を受け継ぎ、その土台のうえに新たなフロンティアを築くことで未来の価値を創造しています。東北大学は、破壊的イノベーションの創出に果敢に挑戦する人材を輩出し、若手研究者が躍進する大学であることを目指す「東北大学若手躍進イニシアティブ」を掲げ、待遇改善や研究環境整備、意欲ある若手の多様なキャリア形成に向けたシームレスな支援に取り組んでいます。こうした支援の下、本学の若手研究者は自由な発想に基づき、独創的な研究に意欲的に挑戦しています。10TOHOKUUNIVERSITYCHALLENGING RESEARCH ENVIRONMENT AND EVALUATION OF UNIVERSITY RESEARCH.SUPPORT CONTENTS学際科学フロンティア研究所助教東北大学若手躍進イニシアティブ。「若手が躍進する大学」であることを宣言します。研究設備にも研究者にも容易にアクセスでき、最先端の研究が可能。東北大学若手躍進イニシアティブウェブサイト●研究スタート支援●若手研究者海外長期派遣支援●若手研究者共用設備利用支援●オープンアクセス論文掲載支援●分野融合促進支援●研究力向上セミナー●アントレプレナーシップ●ギャップファンドプログラム●学生向けプログラム起業家支援●知財化支援●産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム人材育成支援教育支援●独自の奨学金支援●国際共同大学院プログラム●リーディングプログラム●産学共創大学院プログラム●学際高等研究教育院●挑戦的研究支援プロジェクト研究支援社会共創若手躍進総合支援パッケージ 〜学生から若手研究者までシームレスな支援を展開〜若手研究者を支援挑める研究環境と大学研究の評価平本 薫assistant prof. KaoruHIRAMOTO新技術の実用化を通した社会貢献を目指していきたいと思っています。平本さんの研究内容も教えてください。平本:私の分野は分析化学です。細胞そのものや、細胞が構成する組織など、生命に関わる分子の分析技術を開発しています。具体的には、細胞が発する微弱な応答を微小電流として検知するセンサーの開発ですね。細胞はおよそ10マイクロメートル、つまり100分の1mm程の大きさしかないため、センサーのサイズもそれと同等、または以下にしなければなりません。実は現在、さらに小さい数10万分の1mmサイズのセンサーを開発中です。ゆくゆくは高感度な医療用センサーを完成させ、病気の診断や、投薬後の効果測定に活用してもらいたいと思っています。なぜ東北大学の研究者に?焼野:東京大学大学院で学位を取得したあとJAXAなどの研究機関でポスドクをしていたのですが、東北大学の研究者の枠がちょうど空いたこと、検討していた研究室の先生の考え方と、「社会に役立つ研究をしたい」という自分の思いがマッチしたことから決めました。所属は2017年から現在までずっと「流体科学研究所」です。1943年に「高速力学研究所」として発足以来、流体科学の基礎研究を基盤とした先端学術領域との融合を軸に、世界最高水準の研究を進めている機関で、国内でも珍しい高度な実験装置があるのも特徴ですね。平本:私の場合は東北大学大学院を出て一度就職し、7年ほど働いてから「学際科学フロンティア研究所」に応募しました。企業でも人の疾病に関わるバイオセンサーの研究をしていましたが、より深く専門的な研究を行いたいという気持ちが膨らみ、戻ってきたかたちです。「学際科学フロ現在取り組んでいる研究テーマは?焼野:主に飛行機やロケットといった高速輸送機の空気に関係する研究をしていて、東北大学では国産旅客機の開発プロジェクトにも携わっていました。実は日本の航空宇宙分野は第二次世界大戦後に中断を余儀なくされた歴史があり、まだまだ新しい分野と言えます。そして研究者が少ない分野でもあるのです。私は航空宇宙工学の若手研究者として、この分野を盛り上げたいと考えています。平本:スケールが大きな研究テーマですよね。機密にふれない範囲で、具体的な研究内容を教えてもらえますか?焼野:例えば、以前は航空機の翼の表面はツルツルしている方が空気抵抗が低いというのが常識でしたが、実はザラザラしている方が低くなるのではという説から実験が行われていて、私の研究室では実験結果をもとに数値計算をしたり、新しい手法を取り入れた実験をしたりしています。今後はコストの面も含め、05CROSS
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