東北大学 大学案内 2026年度入学者用
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13多様性への配慮や各種制度の改革は今も進行中。分野の垣根を越え、将来の女性研究者を増やしたい。文学研究科日高珠希さん(東京都/東北大学出身)生命科学研究科廣瀬まどかさん(東京都/北海道大学出身)工学研究科Hayley Leggettさん(英国/University College London出身)東北大学特設サイト「日本初・女子大生誕生の地」Hayley:私が今所属している研究室も留学生が多く、常に多様性を意識する環境ですね。ロンドンの大学と比較すると、日本はまだ多様性の理解やサポートが十分でないと感じますが、東北大学は出身国ごとにグループをつくったり、国籍によって対応スタッフが分かれたりせず、どんなバックグラウンドを持つ人も皆同じように行動や研究ができるところがよいと思います。矢島:私は学部1年生の秋からユニバーシティ・ハウスに住んでいて、多くの留学生と日常的に接しています。さまざまな面で最初は留学生相手に身構えてしまうことも多かったのですが、今はどんな相手に対しても、なるべくフラットに接することが出来るよう心がけています。「東北大学サイエンス・アンバサダー」への参加理由は?Hayley:子どもたちに科学の面白さを伝えることに大きな魅力を感じました。それと、東北大学に来てからは他分野の女性研究者とコミュニケーションをより多く図ることができたので、貴重な機会だと思いました。津波研究は工学だけでなくさまざまな分野と関連しています。研究を深める意味でも、分野や所属を越えて多くの人と関われることは重要だと感じます。廣瀬:所属する研究室の教授に勧められたことがきっかけでした。すでに参加していた友人からも話を聞いて、他分野の女子大学院生との交流は楽しそうだなと思い、参加することにしました。矢島:私も教授から誘っていただきました。Hayleyさんと同じく、小中高校生に科学の魅力を伝えられることが一番の決め手でしたね。私自身、高校生の時に研究者の話を聞いて研究に興味を持ったので、サイエンス・アンバサダーの活動を通して、子どもをはじめ多くの人に科学や研究の面白さを農学研究科矢島由彩さん(群馬県/東北大学出身)伝えられたらうれしいです。日高:理系の院生だけでなく文系も参加対象になったと知り、参加を決めました。サイエンス・アンバサダーは院生同士の横のつながりを生むと同時に、将来の女性研究者を増やす貴重な機会にもなっています。セミナーに参加してくれる女子生徒たちが、私の姿を見て研究に興味を持ってくれたら嬉しいですし、その子たちが研究者の道を歩み始めた時、研究と家庭を両立している女性研究者の先輩になっていたいという気持ちもあります。今後もっと充実してほしい制度や環境は?矢島:東北大学は日本で初めて女子大生が誕生した大学であり、昔から率先して改革を進めてきたと思いますし、今も変わり続けていると思います。国際卓越研究大学に認定されたことで、奨学金などのサポートも充実していくことを期待しています。Hayley:工学研究科は奨学金などの面でも制度が充実していて、安心して研究に集中することができます。研究者のキャリア形成のためのプログラムも多く、私にとっては快適な環境だと感じています。日高:理系の学部から文系の大学院に来て感じるのは、文系の研究内容が他分野の方にあまり知られていないということ。でもサイエンス・アンバサダーに参加できるようになったので、文系の研究についてもっと積極的に発信し、文系の研究にも興味を持ってもらいたいと考えています。廣瀬:女性は出産や育児などで研究のキャリアに空白ができることがあると思います。東北大学は今制度を充実させてくれていますが、実際に制度を利用しながらキャリアを積んできた女性研究者の実例がまだ少ないのかなとも思います。女性研究者が安心してライフプランを立てられるような雰囲気がもっと醸成されると嬉しいですね。RESEARCHERRESEARCHERそもそも東北大学大学院を選んだ理由は?日高:高校生の時から研究職を志し、東北大学の充実した研究環境に魅力を感じたので志望しました。理学部で4年間学び、現在は文系の研究科に所属しています。矢島:私も将来研究職に就くことを視野に大学を選びました。他の大学も検討しましたが、東北大学のオープンキャンパスで聴いた講演内容が自分の研究したい内容と合致したため、第一志望にしました。ちなみに今所属しているのは、当時講演されていた先生の研究室です。廣瀬:おふたりは学部から東北大学なんですね。私は北海道大学の理学部で脳や神経の研究をしていたのですが、研究室の先生が近く退職されることとなり、自分が研究したいテーマに合う研究室を探して、東北大学の生命科学研究科に□り着きました。Hayley:私の研究テーマは津波工学です。東日本大震災の被災地であり、津波研究が進んでいる東北大学こそ、津波について学ぶ最適な環境であると感じて選びました。東北大学の多様性について感じることは?廣瀬:普段はほとんど意識しませんが、他の大学の友人と話していると、東北大学は留学生がとても多いのだと気づかされます。世界中から集まっている留学生は国も文化も言語もさまざまで、日本との違いを感じることはありますね。日高:文系の研究室でも留学生の比率が高いことは感じます。あとこれは他の大学でも同じだと思いますが、ベテランの教授陣は男性が多いですよね。きっと昔の大学院は男性がほとんどだったのだと推測できます。でも最近は若い女性の先生も少しずつ増えてきて、これからはもっと男女の比率が同等に向かっていくのかなと思います。CROSS TALK

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