平成30年度 筑波大学入学案内
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③臨床検査技師としての専門教育臨床検査技師の専門教育として重要な事は、正確で最新の知 識をもって論理的に考えることができ、それを実践できる技能を持つことです。この技能を体得することも大変重要であり、そのため専門科目の多くには実習が組まれています。また、国家試験に対応するために医学検査学フロンティアという科目も設置され、できるだけスムースに資格の取得ができるようにしています。また、筑波大学医学群には、チーム ワーク演習という、医学類、看護学類、医療科学類、薬学部(東京理科大学)の4つの学部生が合同で実践的チームワーク医療について学ぶ、特徴的な科目もあり、幅広く医療を学ぶことができます。④研究者養成としての専門教育医療科学類では、専門性の高い研究者の育成を目指していま す。研究者として重要な素養は、問題点を正確に理解し、それを解決するための科学的視点と適正な方法論を持つことで す。専門基礎科目や専門科目で学んだことを基盤に、さらに研究者としての素養を涵養するために卒業研究を行います。これは、筑波大学医療医学系に属する多くの研究室のうちのいずれかに配属され、与えられた研究テーマに沿って研究をするものです。卒業研究によって、科学的視点や方法論の習得、論文の抄読や作成、さらにはプレゼンテーション力など、講義ではあまり触れない、研究者の基本を修練します。医療科学類生は、大学院の進学率も全国の関連学部のうちで 最も高く、平成22~24年度では約60%でした。このように、多くの学生が大学院でさらに研究者としてのスキルを学びます。⑤教育の支援体制筑波大学医学群では、教育の支援体制としてPCMEというカリキュラムの進行を統括する部署があり、いろいろな面で合理的に教育にあたっています。また、カリキュラムを効率よく進行させるために学習支援ポータルサイトを設け、学習を支援しています。卒業生からのメッセージ三浦 悠樹114所属:筑波大学グローバル教育院ヒューマンバイオロジー学位プログラム卒業後の進路:米国スタンフォード大学医学部 Postdoctoral Fellow出身高校:埼玉県立川越高校 皆さん、はじめまして。平成22年度卒業生の三浦悠樹です。 僕は「ヒトを理解したい」というシンプルな問いから、ヒトに関する医科学が学べる医療科学類を選びました。在学中の4年間では、基礎医学や臨床検査の知識を得ると同時に、病院実習を通して実際の医療現場を体験し、卒業研究では最先端の基礎医学の研究に触れる機会がありました。その中でも、卒業研究で取り組んだ、脳が発達する際の重要なプロセスである神経細胞突起伸長の分子メカニズムを自らの手で解明する「基礎研究」に最もやりがいを感じ、将来も基礎研究を続けたいと考え、5年間の博士課程への進学を決意しました。今年の3月に博士課程を修了し、4月から米国スタンフォード大学医学部にて博士研究員として、ヒトiPS細胞から再構築した3次元ヒト脳モデルを用いて、脳の発達障害である自閉症や統合失調症といった精神疾患の病態メカニズムの解明に取り組みます。将来的にこれらの精神疾患に対する治療薬や新規検査法の開発に寄与し、さらにヒトをヒトたらしめる脳の理解を通じて、かねてからの目標である「ヒトの理解」に迫りたいと考えています。 僕は医療科学類を卒業後、基礎研究を続ける道を選択しましたが、同級生は、病院で研究もこなしながら臨床検査技師として働いていたり、医薬品の開発における臨床試験の仕事に取り組んでいたりします。一方、僕と同様に博士課程に進学し基礎研究を続け、医療系の大学教授を目指す友人や製薬会社に就職し自分の手でがんの薬の開発を目指す友人もいます。このように、医療科学というキーワードを軸に多様なキャリアパスが開かれている点が医療科学類の最も魅力的な点です。 大学4年間の学びはゴールではなく、スタート地点だと卒業して実感しています。大学卒業後のキャリアを考慮する上で、病院実習や基礎研究など様々な経験が出来、多彩な卒後の選択肢を擁する医療科学類はとても魅力的な学類だと僕は思っています。そんな医療科学類に入学し、医療科学の分野をリードする人材となり、未来の医療科学類を共に盛り上げていってくれる後輩をお待ちしています。卒業年:2011年108

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