平成30年度 筑波大学入学案内
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山脇 耀平(社会学主専攻)林 健太郎(政治学主専攻)冨沢 元輝(法学主専攻)渡邉 ますみ(経済学主専攻)38 ぼくたちは毎日大量に、情報のシャワーを浴びています。それらはマスメディアやSNS、ときには公共空間を利用し過剰なまでに訴えかけてくるでしょう。注意深く生きていなくても、なんとなく知っているニュースや話題は、圧倒的に増えました。いまの世の中で課題とされていることを多く知っているのはすばらしい。しかし知るだけで満足しては、課題を解決する力は得られません。 学問を学び、自ら仮説を立て検証していくスキルを身につけることは、生涯社会の一員として生きるうえで役にたつといえるでしょう。 わたしは地域社会学を、過疎地域の創生について学んでいます。国を挙げて制度化してもなかなか進まない地方創生ですが、地域を取材すると人びとの不仲や「そんなもんなの?」といえる点に大きな差があったりします。メディアで語られる内容ではなく、自分で考え調べてみなければわからないのです。 理論を駆使しつつ、フィールドワークで対象者に踏み込み、現代社会の意外な問題や原因を追求する。それこそが、枠にとらわれない社会学の醍醐味だと考えます。その先に何かを明らかにできたとき、得られる喜びは計り知れません。 みなさんは法学部に対してどのようなイメージを抱いていますか。広い講堂で学生に対して先生が難解な法律用語を呪文の如く唱える。私は本学に入学するまではこのような印象を抱いていました。しかし、社会学類法学主専攻での学びは、大人数に対して行われる座学のみの固い法律の授業だけではありません。法学主専攻には各学年20名前後の学生しかいません。授業では学生と先生方との間の距離も近く、疑問点を質問する機会も豊富です。学生達の素朴な疑問に先生方が真摯に答える学びの場が提供されています。ゼミでは自由で活発な議論が行われます。 さらに、法そのものについて深く考察する講義やゼミもあります。私は、小・中・高校生に対して法教育を行う授業案を考える中で、主権者である国民を守るための法のあり方について深く考えさせられました。裁判所見学等の課外授業によって実務を体感することもできます。 また、学際性あふれる本学では、多角的観点から法的問題にアプローチすることもできます。自由な議論の場で広い視野を持って問題を考察できる法学主専攻での学びをみなさんに是非お勧めします。 昨年の米大統領選挙において、ドナルド・トランプ氏の発言が日本を揺るがしました。トランプ氏が「日米安全保障条約は不平等だ。このままでは在日米軍の撤退も有りうる」という趣旨の発言を繰り返していたからです。 しかし、このように「暴言」を繰り返すトランプ氏でしたが、米国民からの支持を広げ、最終的に大統領選挙に勝利し、第45代アメリカ合衆国大統領に就任しました。それは何故か。米国の世論には、今後は国際問題には積極的に関わらず、国内問題に集中すべきだとの孤立主義の考え方も根強くあるからです。 皆さんの中には「国際問題に関与しない米国を想像できない」という方もいるとは思いますが、実は第二次世界大戦前までの米国の外交は、孤立主義の傾向が強かったのです。トランプ氏の選挙期間中での一連の発言は、過去の米国の外交政策への回帰とも言えるでしょう。 トランプ氏の登場に代表されるように、現在の世界は大きな転換期を迎えていると言えます。このような転換期にある世界情勢を理解するためには、政治学を学ぶ意義は大きいと思います。社会学類で政治の世界を理論的、科学的、 歴史的に学び、日々のニュースを深く考察してみませんか。 私が経済学専攻を選んだきっかけは、オープンキャンパスで受けた模擬授業でした。数式や詳しい理論のことはよくわからなかったけれど、楽しかったのです。 私は今、ゲーム理論と公共経済学の2つのゼミに所属しています。異なる内容の複数のゼミを受講することが可能である点は、「経済学」という学問に様々な角度からアプローチできるというメリットがあります。また、他大学に比べても学生の人数が少ないため、先生方との距離が近く、そのぶんわからない点を先生に聞きやすいので学ぶ環境は整っていると思います。 そして私が社会学類に入学し大学生活を送る中で一番驚いたことは、こんなにいろんな人がいるのだ、ということでした。同期のみんなの考え方、やっていること、やりたいことが自分に新鮮で良い刺激をもらっています。 社会学類では、入学後様々な分野の授業を受けることが可能で、自分の専攻を決める時間は十分に与えられていると思います。大学生活ではたくさんの出会いがあります。自分の何かを大きく変えるものもあるかもしれません。その中で、あなたが社会学類経済学専攻を選んでくれたならとても嬉しいです。32

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