平成30年度 筑波大学入学案内
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 心理学は、人間の心を科学的・実証的に探究しようとする学問です。日常生活の中で私たちが見たり、注意をしたり、思い出したり、あるいは考えたりといった精神活動や、うれしかったり、悩んだりといった様々な人生体験を対象として研究します。このような精神活動や体験は、手にとって直接的に「ものさし」をあてて測ることができませんので、何らかの方法で間接的に測ることになります。そこに心理学の難しさと創造性を発揮する楽しみがあります。心理学は、たいへん間口が広く、生理、比較、感覚知覚、認知、学習、教育、発達、社会、臨床などの多くの専門分野があり、深い人間理解が可能となる魅力的な学問です。専門として学べる内容 入学後は、1・2年次で心理学の基礎的な知識を学ぶと 同時に、統計や実験、調査といった科学的実証的な研究を行うための手段を方法論として学びます。2・3年次から は主体的に選択して専門分野の講義を受けつつ、演習で最新の研究動向を勉強します。同時に、実際に自分で研究計画を立て、データを集め、分析し、まとめ、発表するという一連の研究実習を行います。そして、この研究実習体験研究領域学べる内容実験心理学領域視覚、聴覚、嗅覚などの感覚や知覚の興味深い現象やその仕組み、人と動物の心の共通性や違い、学習・記憶、感情、動機づけ、ストレスなどの脳やホルモンのメカニズムについて学ぶことができます。教育心理学領域人々の教えあいと学びあいのプロセスの仕組み、とくに学びを支えることばなどの社会文化的仕組みや、記憶や認知現象などの基本的仕組み、そして学びを通した能力の発達や変化、さらに心の変化を測定する方法などについて学ぶことができます。発達心理学領域対象とする年齢によって、幼児、児童、青年、老年の心理学に大きく分かれますが、一生の発達を統合的に扱おうとする立場もあります。発達は時間的変化という点で1つの研究法ともいえますので、認知の発達、感情の発達といった点から心を捉えることも可能です。発達臨床心理学では親子関係や子どもの発達の様々な問題の理解とケアに取り組みます。社会心理学領域個人と社会の関係を心の働きという側面から理解する分野です。そこでは、集団が個人の行動や意識に与える影響、対人関係の心理、人種や性別による偏った人の見方、災害時の行動やマスメディアの影響などの社会現象、攻撃といった社会行動の病理的側面などについて学ぶことができます。臨床心理学領域心理的障害や不適応に関する基礎理論や臨床的方法について学ぶとともに、ストレスの問題など個人及び集団の心と身体のウェルビーイングについて心理学的視点から検討します。またパーソナリティの理論と病理、カウンセリングを支える理論と技術についても学ぶことができます。脳の損傷と認知の障害との関連についても学習できます。 人間の心と行動に関する幅広い興味や関心を基盤に、人間の心や行動を科学的・実証的に分析し理解する姿勢及び専門的な知織や技能を身に付け、さらに、これらの学習成果を生かして、実際的な問題を主体的かつ創造的に解決する能力を有し、国際的にも通用する知性・人間性・逞しさを備えた人材を育成します。[ 人材養成目的 ]48http://www.human.tsukuba.ac.jp/psyche/college/人間学群心理学類 1年生には心理学の概論の講義だけでなく、研究を遂行するための心理学の方法論や心理統計、さらには大学院進学に関するレクチャーまで、幅広い内容の授業が用意されています。将来を見据えて学ぶ学生の目は自然に真剣なものになっていきます。42http://www.human.tsukuba.ac.jp/psyche/college/

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