2019年度 筑波大学入学案内
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内野 沙也香(社会学主専攻)一尾 泰造(政治学主専攻)加藤木 優輔(法学主専攻)阿部 寿季(経済学主専攻)38 こんにちは。社会学専攻の内野です。 私は2年生の時に今の指導教官に出会い、社会学専攻に進むことを決めました。高校生の今、何を学びたいか具体的な目標がなくても、授業を受けていく中でこれだ!という専攻がきっとあります。私は政治学志望の推薦受験でしたがまさか地域社会学で卒業論文を書くとは思ってもいませんでした。多様な分野に触れることができるのは大きな魅力です。 私たちは一人で生きられません。常に「社会」の中で生きています。そして自分の行動も、知らず知らずのうちに社会の影響を受けています。それがスポーツの場であっても、医療でも、教育でも、地域でも、そして家族関係でさえも、社会背景が問題の鍵を握っているのです。このような身近にある問題を多様な切り口で紐解いていくのが、社会学という学問です。社会学類に所属していても、社会学だけでなく心理学や人文学、さらに芸術に至るまで他の学類の講義を幅広く履修することができます。面白そうだと思ったことを総合的に学んでゆくその先に、自分の本当の「社会への問い」が見つかると思います。知識の詰め込みだけが大学の「学び」ではありません。今後ますます変化のスピードが速くなり多様化していく社会の中で、高校までの「与えられた課題」を解決する能力だけで生き抜くことは難しいでしょう。自ら常に問題を見つけ出し解決する必要があります。私はこの「考え続ける力」をこの4年間で大きく伸ばすことができました。これは社会人になっても活かすことができるスキルだと思っています。 皆さんが社会学類を志してくれることを、心よりお待ちしています。 「筑波大学には法学部がない」、そう思われている方が大学を卒業した社会人、他大学の学生、はたまた本学の学生の中にも多くいらっしゃいます。しかし、そんなことはありません。確かに「法学部」という名称ではありませんが、ここ社会学類法学主専攻では、他大学の法学部に負けないくらいしっかりと法律を学ぶことができます。 そして、社会学類法学主専攻には、他大学にはない特徴・メリットがたくさんあります。 社会学類は1,2年で社会科学全般を横断的に学んだ後に、3年で主専攻を決定します。ですので、様々な学問に触れ、その上で自分の志望を固め、主専攻を選択することができます。私も、入学前から法律を学びたいという気持ちがありましたが、1,2年で社会科学全般を学んだことで、より一層法律への興味・関心が高まりました。 また、社会学類の各専攻の学生の人数は1学年につき、毎年20名前後です。そのため、学生同士の距離や学生と先生方との距離は、私立のような大人数・大規模な大学と比べて格段と近くなります。法学主専攻の先生方は非常に熱心な方ばかりですので、学問のことだけでなく、進路やその他の相談にも真摯に対応して下さります。社会学類では、複数のゼミに所属することができますので、所属しているゼミの数だけ多くの先生方、先輩・後輩を含めた学生たちと関わることができます。私も実際に2つのゼミに所属していて、それぞれのゼミで非常に有意義な経験をさせていただいていますし、2人の先生方には大変お世話になっています。私だけでなく、周りの友人たちや後輩、卒業されていった先輩たちも同様です。 まだまだ紹介したいことはたくさんありますが、この先は皆さんが入学して実際にその目で確かめてみてください。この紹介文を読んで下さった皆さんが筑波大学社会学類法学主専攻に興味を持ち、入学してくれることを心から願っています。 近年、若者を中心に政治への無関心が大きな社会問題の一つとなっています。「政治は頭の良い政治家が行うものであり、自分は関係ない」と多くの人が考えています。それを如実に表しているのが投票率の低下です。投票とは、国民にとって最も身近で簡単な政治参加方法です。しかし多くの若者は投票所に足を運びません。ある政治学者によると若者の投票率低下が原因で、若者が4000万円も損しているそうです。現在の60代以上は払った税金以上の需給を受けているが、20代は彼らが払った税金より4000万円低い受給しか受けていないのです。また、憲法九条改正のような国会で決められたことが私たちの生活を根本から変えてしまうことも度々あります。このように、私たちは政治の圧倒的な影響力のもと、生活しているのです。 筑波大学社会・国際学群社会学類政治学主専攻では、様々な角度から政治の勉強ができます。政治の根源を学ぶ政治思想や国内外の政治を学ぶ比較政治学、日本政治論や分析的に政治を学ぶ計量政治学などです。グローバル化する複雑な政治現象をとらえるためにはこのように多角的な視点や正確な情報獲得の術を学ばなくてはなりません。社会学類の政治学主専攻はそのような力を養うには最適な環境です。上記のような授業に加え、3年次より始まるゼミは少人数制で、自分の専門研究を教授やクラスメイトと進めていくものです。 政治学の魅力は数学のように正解がないことだと思います。どの視点にたっているか、そのような価値観を持っているかで、国民が求めている正解が異なるためです。皆さんも社会学類で様々な価値観を理解した上で、自分なりの答えを導き出せるような人間に成長しませんか? 経済学は豊かさを追求する学問です。豊かさとはお金のことだけでなく個人や社会全体の満足感のことも指します。例えばクラスでお菓子を配分するとき、全員の満足をできるだけ最大化する最適解を見つけるのも経済学です。経済学は個人の好みを定式化し、数学を利用する徹底した論理的思考で、理想的な資源の配分を実現します。ただし、経済学をより完成されたものにするためには、洗練された人間性が必要です。気持ちを理解する研ぎ澄まされた感覚を付加させ、様々な問題点を修正します。経済学で得た知見は、我々の行動と考え方を瞬く間に変えます。学ぶ側と考える対象の両者に便益をもたらす、まさにあらゆる豊かさを追求する学問と言えるでしょう。 社会学類で経済学を学ぶことは非常に有意義です。それは、充実した授業、少人数であること、他選考の知識を得られることに挙げられます。授業は、先生方の専門知識ごとに開設されています。よって上辺ではなく、参考書に載っていない、血の通う生きた知識を得られます。三年次からはゼミが始まり学生が学びたい事を徹底して学べます。少人数であることも特徴的です。先生や同級生との距離が近く、分からない所を助け合うだけでなく、様々な価値観に密に触れられます。他専攻の授業を履修できることは最大のポイントかもしれません。幅広く学んだ知識は必ず有益なものになります。私は企業経営に興味があるので、経営法務に関する法学の授業をとりました。このような横断的知識は、社会学類でしか得られないでしょう。 こうして培われた知識や人との繋がりは誇れる財産です。皆さんも社会学類の一員となり、未来をつかみませんか。34

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