2019年度 筑波大学入学案内
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卒業後の進路障害科学履修モデル 本学には障害科学に関するわが国で最も整備された大学院(人間総合科学研究科)があり、学類卒業後には進学することを勧めています。近年、障害関連職種での専門化が進み、大学院修了資格を有したより専門性の高い人材が求められています。進学以外の進路としても、一般社会での障害者の活躍が進み、そのための支援の充実が広がる中で、障害に関連した種々の職種の中で専門家としての知識・技能の発揮が期待されています。教職課程を履修すれば、教員免許状の取得も可能です。大学院では、学校心理士、臨床発達心理士などの申請資格を取得することが可能であるほか、自閉症スペクトラム支援士の実践歴が得られます。特別支援教育学履修モデル 主として特別支援学校及び小・中学校などの特別支援教育担当の教員のほかに、国家公務員、地方公務員に就くことを想定しています。また、本学大学院(人間総合科学研究科)への進学も勧めています。学類と大学院との一貫したカリキュラムの履修により、進学者は専修免許を取得し、より専門性の高い教育者や研究者となることを目指すことができます。伊藤 詩織(平成26年度卒)54 私は千葉県にある聴覚に障害のある生徒達が通う特別支援学校で英語を教えています。聴覚に障害があるというと、全く耳が聞こえない生徒に教えている印象を与えるかと思いますが、実状は異なります。残っている聴力を活用する生徒やほとんど耳が聞こえない生徒など様々な生徒が一緒に学習しています。そのため、それぞれの生徒に合った表現方法や伝達手段が必要となり、日々の工夫が欠かせません。どうすれば英語を理解して好きになってもらえるか、と考えながら授業を行っていますが、試行錯誤の毎日が続いています。 しかし、このような教員生活の中でとても役に立っていることがあります。それは障害科学類で特別支援教育に必要な5領域(知的障害、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱)の内容を全て学ぶことができたことです。現在の特別支援教育は生徒一人一人のニーズに応えることが求められており、多様な視点から生徒を見る目が必要です。例えば授業一つを考えるだけでも、聴覚という観点からだけではなく、視覚的なこと、学習障害に関することなど他の障害領域と合わせて考えた方がよい場合が多くあります。その際、障害科学類での幅広い学びが、専門だけでは見えてこなかった可能性を示唆し、新しい授業の展開を模索するきっかけを与えてくれています。また、障害科学類では学生の時から実際の教育現場を見る機会がたくさんありますので、理論だけでなく実践的に学ぶことができます。そのおかげで生徒自身を見ることが大切であるという姿勢を作ることができ、今でも生徒と向き合うことを第一に生徒と関わっています。 今思い返すと、このように障害科学類での学びは、特別支援学校で勤務する私に大切なことを教えてくれるだけではなく、私を支えてくれる糧となっていると言っても過言ではなく、本当に魅力的な学類だと感じています。海外留学・海外研修 障害科学類では、筑波大学や人間学群で交流協定を結んでいる海外の大学に留学する機会を設けています。2017年度人間学群国際化プロジェクト(ロシア訪問)に参加して和田 多香子(障害科学類3年) 今年度の人間学群国際化プロジェクトでは、ロシアに10日ほど滞在しました。参加を希望した理由は、他国の教育のあり方や学校の様子を知ることで日本の特別支援教育と比較することができ、より深く考えることに繋がるのではないかと考えたからです。現地ではインクルーシブ教育を推進している学校の見学等を行いましたが、日本との共通点と相違点が同じくらいあり大変興味深かったです。そこから、他国の長所を日本の文化や慣習に合うように変えながら取り入れていくことこそがこれからの教育をより良いものにするためのヒントになるのではないかと思いました。また、言語も文化も私にとっては未知の国に行くのは少しドキドキしましたが、発見の連続で自分の中の価値観の再構築に繋がりました。大学は、学問を修める場所であると同時に新しい自分と出会うための時間が取れる場所でもあると思います。勇気を持って知らない世界へ飛び込んで、一緒に充実した大学生活を送りましょう!50

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