2019年度 筑波大学入学案内
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62農林生物学コース  本田 悠理子応用生命化学コース  浅見 留依環境工学コース  錢谷 菜々未社会経済学コース  清水 司先輩からのメッセージ学類長からのメッセージ生物資源学類長茂野 隆一 大学入学後、専門科目の授業を通して、作物の育種に興味を持ちました。農林生物学コースでは作物の育種技術についてはもちろん、育種を理解するうえで重要な作物の生理や生態など様々な分野を幅広く学ぶことができるため、このコースに進学しました。 私はトマトの収量増加を目標として、果実肥大について研究をしています。所属研究室ではある遺伝子が変異することにより、トマトの果実肥大が強化されると考えられている変異体を所有しています。しかし、その変異体の果実肥大がどの程度強化され、優れた育種材料として利用できるのかということについては不明でした。卒業研究では、変異体を栽培して収量や果実の表現型などを調査し、遺伝子の変異によってトマトの果実肥大がどの程度強化されるのか、その変異体が果実肥大を強化した品種開発のための新たな育種材料となり得るのかということについて評価を行いました。  生物資源学類には幅広い専門分野があり、それぞれの研究室で多種多様な研究が行われています。幅広い分野の知識を身に付けることができるだけではなく、より深く掘り下げて学ぶことも可能です。まずは幅広く様々な知識を身に付け、たくさんのことを学んでみてください。入学して間もない頃は漠然としていても、生物資源学類で多くのことを学ぶにしたがって、きっと興味や関心のある分野が見つかるはずです。そしてその興味や関心を突き詰め、学生生活を充実したものにしてほしいと思います。 高校生の頃からアロマテラピーや漢方に興味を持っていて、医薬に限らず植物の力を何か人の生活に役立てる方法を研究したいと考え生物資源学類に入学しました。大学2年次の研究室紹介で現在私が所属している研究室の教員の研究内容を知り、自然界に生息する動植物や微生物に含まれる天然物の多様性やそのポテンシャルに強く興味を抱きました。それらを学んでいこうと思い、応用生命化学コースを選択しました。 卒業研究では「ヒマワリ芽生えからの生理活性物質の探索」というテーマで研究を行っています。植物は周りの環境変化にすばやく対応するための様々な生物機能を持っていて、その一つに光屈性があります。このメカニズムは植物ホルモン・オーキシンの偏差分布によって説明されてきましたが(Cholodny-Went説)、私が所属する研究グループでは光によって増加する成長抑制物質により制御される新たな説(Bruinsma-Hasegawa説)を提唱しています。近年ヒマワリから強い成長抑制活性を持った数々のポリアセチレン化合物が見つかっているため、光屈性にこれらの物質がどのように関わっているかを研究しています。また、ポリアセチレン化合物には抗腫瘍活性も知られているため、将来的にはヒマワリから単離したポリアセチレン化合物を人の健康に役立てることも視野に入れて研究しています。 生物資源学類では、本当に幅広い分野の講義や研究が行われていて、様々な考え方や視点を持った多くの教員や学生と出会うことができます。自分の学びたいことの専門性を深めつつ、様々な学問や人と出会うことで自分の可能性を広げていける学類だと思います。 入りたいと思った研究室がこのコースだったことが一番の理由です。また、私は顕微鏡スケールのミクロな対象ではなく、目で見てわかるものや現象を対象にした研究をしたい、と思っていたので環境工学コースの研究室が研究の対象とする食品や水、土、木材などに興味をひかれたこともあります。 卒業研究テーマは「熱処理木材中に残留する低分子量の糖が振動特性に与える影響」です。私は、楽器に使われる木材の改質を目的とした熱処理について研究をおこなっています。楽器材料には伐採から長い年月を経た木材(=古材)がよいとされていますが、由来の確かな古材を手に入れることは難しく、月日を経ることで木材の物性がどのように変化するかはよくわかっていません。一方、木材を楽器材料に適した物性にする方法の一つとして熱処理があります。熱処理によって木材の物性を短時間で変化させることが出来、その効果は加熱時間や温度、処理反応槽内の湿度によって決まります。私は、処理反応槽内の湿度に注目し、湿度を変えて熱処理した木材の振動の変化を測定するとともに、熱処理によって生成した木材中の糖が振動に与える影響について検討しています。 生物資源学類には本当に様々な分野の先生が在籍しているので、1つのことに限らずいろいろ学べる環境が整っています。様々なことを学んでいく過程で論理的な思考力を身につけることができ、自分を客観視することもできるようになっていけると思います。多くの刺激を受けつつ自身の方向性を探求していくことが可能な学類ですので、皆さまの入学をお待ちしています。 第一次産業に関心があり、産業の面から地域活性化ができないかと考えていました。社会経済学コースでは、経済学、経営学、歴史学、社会学といった様々な視点から第一次産業を学ぶことができます。一つの事象にとらわれず、第一次産業を取り巻く環境全体の知見を得たいと思い、社会経済学コースを選びました。 農業を取り巻く潮流が刻々と変化する中、新たな農業の担い手として注目されているのが農業法人です。自社のみならず、周辺や日本全国の経営体と提携し、生産力や販売力に秀でたネットワーク組織が台頭しています。それらの事例がどのようにネットワーク組織をつくり、発展させてきたのかを研究しています。 生物資源学類は幅広い専門分野を持っており、好奇心をくすぐられる分野がきっと見つかると思います。また、生物資源学類には、その好奇心に応える環境が整っています。選択肢を絞らず、生物資源というキーワードのもとで、幅広い分野から情熱を注げる研究を見つけてみてください。向型授業、海外提携校をはじめとする様々な留学機会の提供、留学生との交流や海外インターンシップでの実践的な語学力の研鑽など、充実した教育・研究環境は他に誇れるものと自負しています。生物資源学類では、国際的な視野、高度な専門性、そして困難に立ち向かう熱意を持った人材の育成を目指しています。皆さんと一緒に学び、一緒に活動できる日が来ることを教職員一同楽しみにしています。 人類の生存に必要な農業生産を支える食料科学はもとより、生命現象を分子レベルで解明する生命科学、森林資源の活用を志す山岳科学、自然と人との共生の可能性を追求する環境科学というように、生物資源学類が対象とする活動領域は大きく拡がっています。そんな広大なフィールドで皆さんが思う存分活躍できるように、私たちは様々なメニューを用意しました。豊富な実験・実習、少人数による双方生物資源学類を志す皆さんへ58

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