2019年度 筑波大学入学案内
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ー、確率論、関数解析、複素解析、数理論理学、数理統計学、計算機数学などで、学生諸君はこれらを学ぶことにより、純粋数学のみならず情報数学を含む数理科学についても視野が広がるように配慮されています。 4年次には、卒業研究を受講することになります。卒業研究ではセミナーが用意され、学生はそれぞれの研究分野への関心に応じて、幾つかのグループに分かれます。セミナーでは、それぞれの専門分野の数学について、研究発表をしたり指導教員と議論を交えたりします。講義とはまた違った充実感を味わえるものと思います。卒業研究発表会は日頃の成果を示す恰好の場になります。専門として学べる内容 数学類では各種の講義や演習とともに、1年次から4年次まで、数学類特別セミナー、数学外書輪講、少人数で行う卒業研究等のセミナーが設けられています。学生自らが学習成果を発表し、教員のきめ細かな指導のもとで、個々の能力が伸ばせ、そして数学的思考能力が身につきます。また情報数学にも配慮されたカリキュラムが用意されています。教職(数学、情報)の免許取得も可能です。 1、2年に学ぶ数学は、3、4年次に学ぶ数学に向けてのウォームアップにあたります。1年次の数学の科目は専門科目でなく、専門のための専門基礎科目にあたります。微分積分学、線形代数学、集合論は、いずれも数学のどの分野においても基本的かつ必須なものです。また、2年次には、代数、トポロジー、ベクトル解析と幾何、微分方程式、関数論、統計等の入門的授業が始まります。 3年次の数学は、現代数学の第1ページというべきもので、内容は大きく分けると、代数学、幾何学、解析学、情報数学です。また、後期には、卒業研究の準備として卒業予備研究が始まります。授業や演習に出席するだけでなく自ら専門書を読むなどしてそれぞれが興味を見出し、より理解を深めます。この卒業予備研究を通して数学を学ぶ楽しさと数学の奥深さを実感できるものと思います。 3、4年次の数学には、次のような専門的授業があります。ガロア理論、リー代数、環論、微分幾何学、トポロジ特 長 純粋数学を学べるだけでなく、情報数学を含む数理科学についても広く学ぶことができるので、専門性を深めることと同時に、数理科学的視野を身につけることができます。数学類ホームページ●西野 有希数学類4年向川原 弘明2018年数学類卒業群学工理群学報情群学医群学門専育体群学門専術芸群学境環命生群学間人群学化文・文人群学際国・会社69http://nc.math.tsukuba.ac.jp/pp/ でパンフレットのPDFファイルを見ることができます。パンフレットに載せきれなかった情報も掲載してあります。 数学類に入ってまず、高校数学との違いに驚きました。点を一つ考えるにもそれがどの空間の点かを明らかにしなければいけません。積分するにも、そもそもその関数が積分可能か否かを問題にします。計算式が全く出てこない数学にも出会いました。 高校では曖昧にしていた∞など、しっかり定義づけしていくことにより深く学べますが、高度に発展した理論体系を相手にするため、講義だけで修得していくのは難しい学問です。そのため筑波大学では、講義とセットで少人数クラスの演習を行う授業が開かれています。演習問題を解いたり、クラスの仲間と教えあったり、先生の前で発表することで、コミュニケーション能力を高めつつ、理論の核心を自発的に体得できるようなシステムが確立されています。その他にも「手習い塾」という、大学院生に質問・相談できる制度があったり、また担任の先生もいて、日常生活の面も含め手厚いサポートが受けられます。 私は高校の数学教員を目指しています。教員になるために必要な授業もスムーズに受講できるようにカリキュラムを組めるため、数学と教育を両立して学ぶことができています。 心から尊敬できる所属研究室の先生や、大切な学類の仲間、サークルの友達のおかげで毎日とても楽しいです。皆さんも数学類で楽しい、また充実した大学生活を送りませんか。 数学ができる、得意だと思ったことは今まで一度もなかったのですが、数学がわかることへの憧れが常にあったので、数学類へ進学をしました。そんなふわっとした理由で大学に来た僕は、授業が始まってすぐにギャップを感じました。高校までにはなかった「定義→定理→証明→…」という流れで進む教科書や授業にすぐついていけなくなり、「自分には数学は向いていなかったんだ」と本気で考えました。この考えが大きく変わるきっかけとなったのが「卒業研究」でのゼミでした。教科書を丸暗記するような勉強法をしていた僕は、ゼミで証明の本質的な部分を理解することの重要性を痛感しました。 また、先生や先輩方の本質を捉えた指摘を聞き、より深い理解を得られました。先生や先輩方は理解できていない僕に対して決して馬鹿にしたり、頭ごなしに叱ることなく、わかるまで根気強く、丁寧に教えてくださいました。向いていないと思っていた数学ですが、今は大学院でより高度な数学を学んでいて、非常に楽しいです。数学は理解するまでに非常に多くの時間を費やす学問であるためか、興味はあるけど苦手だから無理だと諦めている人は多いのではないかと思います。 しかし、数学は学びたいと思った全ての人に開かれている学問です。大学で数学を学んでみてもっと学びたいと思った時には大学院があります。筑波大学には真剣に学ぶ人間を丁寧にサポートしてくださる先生方や親身になって相談に乗ってくれる院生の方々もたくさんいます。不得意は決して不利にはなりません。ぜひ筑波大学で数学を学んでみてはいかがでしょうか。65

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