2020年度 筑波大学入学案内
145/178

 はじめまして。人文・文化学群人文学類の片山千波と申します。大学では哲学という、よく「とっつきにくい」だとか「役に立たない」と形容されてしまう学問を学んでいます。このように形容されてしまう哲学ですが、私たち人文学類哲学主専攻や比較文化学類思想・文化領域の学生の多くは、哲学が「訳に立たない」ものだと捉えてはいません。むしろ、他の学問分野の学生や専攻・領域内の他分野を学ぶ学生に対して、「自分はこんなことをやっていると伝えたい」「研究発表がしてみたい」、そして「このことについて意見が聞きたい」と考えることが多いように感じていました。 「じゃあ、学生で“勝手”に発表会をやっちゃおうよ!」という話になり私たちは、2018年の4月に有志学生の発表会としての「哲つくば」を初めて開催しました。学生の自主的な勉強会やゼミと、私たちの活動には一つ大きな違いがあります。それは「哲つくば」は誰にでも開かれた発表や議論の場所であるというところです。「哲つくば」は基本的に、参加者や登壇者を限定しません。哲学に関心があれば、たとえ大学の専門が違っていても登壇をすることができますし、誰でも発表を聞くことができます。 今まで、芸術学や生物学、数学を初めとする様々な学類・専門学群の方にもご登壇いただきました。テーマを絞った専門性を高い登壇発表から、哲学の分野における「スキ(=隙・狭間)」の共有まで、いろいろな目的で参加できる会になっていることが特徴であると思います。 今、筑波大学では「〇つくば」がムーブメントとなり、学内でこのような形式の学生の自主発表会の風潮が次々と立ちあがっています。 実は、総合大学と言っても、学年や学部によってキャンパスが別れている大学は少なくありません。筑波大学は1つのキャンパスに全ての学類・専門学群が集まる全国的に見ても稀有な総合大学です。そこに集まった学生で興味関心を共有できる場があるというのはとても大切で、参加した学生それぞれのこれからの人生の糧になると思います。 このような学問の風潮が哲学から拡散されたことを、哲学を学ぶ一学生として、嬉しく思い、今後もこの活動を続けることができればいいな、と考えています。(人文学類3年次・片山千波)学生から始める学問の可能性―筑波大学だからできる私たちの活動「○つくば」とは 筑波大学の学生が、自分たちが専攻する学問や、興味のある専門分野について自由に研究発表し、自由に討論するために自主的に集まったコミュニティやその活動の通称です。分野によって、「哲つくば」「言つくば」(言語)、「歴つくば」(歴史)、「政つくば」(政治)「地理つくば」などが活動しています。領域はこのような文系学問に限らず、数学、生物、物理といった理系の「○つくば」、音楽、交通といった学際系の「○つくば」も活動しています。筑波大学では、このような学生が立案する活動をサポートするT-ACT(つくばアクションプロジェクト p.130)があり、いくつかの「○つくば」はT-ACTの支援を受けて運営されています。143「哲つくば」のプレゼンテーション「歴つくば」のプレゼンテーション「言(こと)つくば」のプレゼンテーション

元のページ  ../index.html#145

このブックを見る