筑波大学入学案内 2022
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卒業論文 比文らしく、自分らしく 本学類での学修の最大の焦点が卒業論文の作成です。 いわば入学した時点から、あなたの卒論に向けての作業が始まっています。自分の関心に応じて履修科目を選ぶことがその第一歩。さまざまな授業を通じて専門知識や研究スキルを獲得しながら、自分なりの問題意識を深めていってください。 問題設定能力や課題解決能力など、これからの時代にますます求められる主体的な知性を育てることができるのが、この卒論作成のプロセスです。 学類の丁寧なガイダンスおよび主指導教員と副指導教員の指導・助言によって、あなたも、個性的でありながら水準の高い自分だけの論文を仕上げることが可能です。1~2年次テーマを探す2~3年次テーマを膨らませる3~4年次テーマを絞りこみ構成する4年次執筆する審査・発表会完成授業と卒論制作比文での学修を終えて文化創造論コースの授業では、芸術作品を実際に鑑賞し、分析する方法を学びました。扱うジャンルは絵画、写真、映画、音楽、漫画など様々で、研究の自由度が高いのがこのコースの魅力だと思います。私は卒業論文で、ヘンリー・ダーガーというアメリカの作家を取り上げました。彼の作品には、大人の男性を相手に戦う少女たちが登場します。この「戦う少女」というアイディアはどこから来たのか、ダーガーの創作に影響を与えた物から考察しました。具体的には、アメリカの歴史、文学、宗教などで、これらは他のコースの授業で学んだことも役に立ちました。上原のの子(2019年卒業)(表現文化領域、文化創造論コース)山田 玲奈(2017年卒業)(日本・アジア領域、日本文学コース)令和2年度に提出された主な卒業論文の題目●●●●●●●●●●●●●●●●●『更級日記』の文字遣い研究陶淵明「飲酒二十首」における「醉ふ」ことの価値四国遍路における接待と民衆―徳島県阿波市の事例を中心に―The Eects of Paratext on Film: Studio Ghibli Movies in Japan and the United Statesドイツにおける現代史教育―異文化間教育の観点から―中世ヨーロッパにおける「愛」―ファブリオの観点から―スペイン語から見るヒスパニックの特徴と変容韓国における日本食の受容と展開~個人経営店における戦略に注目して~妖怪と共に生きる人々―創出する「伝承者」のあり方について日本における昆虫食文化の空間構造―長野県伊那市を事例に―長野県阿智村における星空ツーリズムの魅力とその形成向田邦子作品における女性への視線―「女ぎらい」の正体―フォリアからみる音楽の継承――現代におけるクラシック音楽の可能性おもちゃと子どもの創造性について「リズムの哲学」から「メロディーの哲学」へ―山崎正和『リズムの哲学ノート』考察―コロナ禍における大学生の孤独感とパーソナル・ネットワークゾロアスター教神話に見られる被造物の生死と善悪私は、仏教説話文学で卒業論文を書き、大学院の教育研究科に進学してさらに学問を深めることを選択しました。正直に言うと、入学前は漠然と日本文学を学び国語の教員を目指したいと考えており、仏教説話や大学院進学にはあまり興味がありませんでした。しかし入学後、比較文化学類の多様な授業、先生、学生との出会いによって自分でも驚くほど関心や選択肢の幅を広げることができました。比較文化学類は6領域17コースに主専攻分野が分かれており、その多様性により視野を広げつつ最終的には自分の学びを極めていくのが「比文らしい学び」だと思います。これから入学する皆さんも、この比文の環境を最大限に活かして自分の可能性を開拓してほしいと思います。20

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