筑波大学入学案内 2022
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28 皆さん、「法学」と聞くと、どのような学問だと想像するでしょうか。法律をひたすら暗記するのだろうとか、馴染みがなく小難しそうだなとか、人によって印象は様々だと思います。実は、このように皆さんに問いかけている私自身も、入学当初は、法学と言われてもどのようなことを学ぶのか、あまり想像ができていませんでした。社会学類は、社会学、政治学、法学、経済学の4主専攻に分かれていますが、入学当初はどの主専攻に進むかまだ迷っていたほどです。私が法学に興味を持ち、法学主専攻に進もうと決めたのは、法に関する様々な考え方や、法の論理的な解釈が、おもしろいと感じたからです。私は、法学とは、法の解釈論であると考えています。その解釈の中で、論ずる人によって様々な考え方が出てきます。この考え方は自分と同じだな、納得できるな、と考えることもあれば、その考え方には賛同できない、ということもあります。中には、自分では思いつかないような考え方もあり、そのような考え方に触れることで、自分の見方を広げることもできます。そして、そうした様々な考え方から、論理的に一貫した解釈を論じていきます。このような解釈の過程に、私は興味を惹かれました。 また、私は、法学を学習していく中で、法は私たちの身近にあるものだと感じました。日常の中にも、法に接する機会はたくさんあるのです。例えば、ニュースを見ていると、暴行や傷害、殺人などがよく取り上げられますが、そういった罪や、犯罪者に対する刑罰は、法によって定められています。また、もし近隣住民とトラブルになったとき、法によってトラブルを解決できることもあります。解決方法を自分で考えてみることも、できるようになると思います。 このように法学は、様々な考え方や、論理的な解釈を楽しむことができ、自分で実際に考え、使う楽しさを味わうこともできる学問です。皆さんもぜひ、私たちに身近な法を、学んでみませんか。 皆さんにとっての経済学とはなんですか? おもしろいことに十分に便利な世の中にいるにも関わらず、世界経済は成長し続けていますよね。そして成長し続ける経済の中には数えきれないほどの「経済学」の世界が広がっています。そうです! 経済学は「無限の可能性」を秘めた学び甲斐のある学問です。 私はビジネスを始めることに興味があり、経済学主専攻を選びました。街を歩きながら、どこにマーケットがあるのか、この店が利益を出すにはどのくらいの売上が必要なのか、とよく考えを巡らせます。そうした時に、経済学を通じて学んだ考え方や理論がとても生きています。 さらにビジネスだけでなく、日常のあらゆる場面に対応させた形で、経済学で学んだ見方・考え方を応用できるのも魅力です。それは社会全体を考える時だけでなく、小さい物事にでさえ用いることができます。 しかし、無限の可能性を持って成長し続ける経済といえども、多くの壁が存在します。それは法律による規制や多種多様な社会形態の存在です。これらを知り理解しないことには経済学の幅を狭めてしまうことになります。 こうしたことから社会学類では、経済学以外にも法学・政治学・社会学を学ぶことができ、さらには他学類の授業も受講することができます。経済学以外の授業でも学びながら、多様な見方・考え方に接することで、経済学での学びをより深くて幅広いものにすることができます。 社会学類には皆さんの「やりたい」を叶えてくれる広くて多様なフィールドがあります。そんな社会学類で一緒に学んでみませんか? 皆さんが社会学類に入学されるのを心より楽しみにしています。 私は、大学で勉強することが具体的にイメージできなかったため、入学時に専攻を絞らなくて良い社会学類を選択しました。1、2年次は社・法・政・経の専攻の科目を満遍なく勉強しながら、自分の適性や興味の方向性を検討することができます。政治学は、社会の中の軋轢をできる限り少なくする手段について取り組む分野の学問です。すなわち、そこに人と人がいれば「政治」は存在しうると言えます。異なる人がいれば、そこには当然価値観や意見の違いが生じ、対立と結びついているからです。私は1年生の時は社会学を主専攻にしようと考えていました。しかし、授業を受けたり同級生と進路の話をするうちに、自分の関心のある分野が政治学の方面に移っていることに気づき、2年生の途中で政治学主専攻に進むための履修計画に切り替えました。ですが、社会学をはじめとする他専攻の分野を勉強していた経験は、政治学を専攻する上で大いに役立ちました。私が学生時代に研究したアメリカの差別是正政策においては、社会学的知見から「政策が導入された背景となる社会階層の分析」を、法学的知見から「政策に関連した訴訟・判例の調査」を、経済学的知見から「政策の経済的意義の検討」を行うといった様に、他専攻での授業を受けた経験が活きていました。卒業後はシステムエンジニアとしてプログラムの開発やテストに従事することになっています。そこでも、解決すべき課題に向け様々な論理的アプローチを考える能力はきっと役に立つことでしょう。幅広く学べる当学の社会学類で政治学を学ぶことは、大学での研究活動だけでなく、社会に出てからも役に立つ「多角的に物事を考える力」を養うことができます。皆さんもぜひ政治学主専攻に足を踏み入れてみてください。 みなさんは大学で何を学びたいですか?私は高校生のとき、特筆できるほど学びたいものはありませんでした。ただ、「社会で起こっていることを知りたい」と漠然と考えていました。法や政治・経済のどれかだけに限定された興味があったのではなく、社会というものの存在の分からなさに、知的好奇心をそそられていたのだと思います。そんなときに社会学を知り、社会学を学びに筑波へ来ました。 社会学では、特定の学問の網ではすくいきれない「隙間」に焦点を当て、そこにこそ「社会問題」があると考えます。だからこそ、みなさんが社会の中で何か問題だと思えることがあれば、それを社会学として取り上げることが出来ます。ジェンダー、ひきこもり、ファッション、テレビドラマと、一見学問に出来なさそうなものでも研究することが出来てしまうところに、私も魅力を感じました。そのようなある側面から人間の関係を見ることで、社会の仕組みが見えてくるような、そんな学問が社会学です。 筑波で社会学をすることの魅力は、知識を得ることができる範囲が幅広いことです。疑問を持つには、まずは幅広い知識を身に着け、多角的な視点を得ることが必要不可欠です。筑波大学では、他の学類の授業を履修することができます。私は教育社会学に興味を持っているのですが、教育学類や心理学類の講義で身に着けた知識が参考になっています。 社会学類の講義だけでなくさまざまな学問の講義も受けて幅広く「学」び、そこで得た幅広い視野の中から自ら「問」いを考えて研究することが出来るのは、筑波の社学ならではだと思います。豊富な知識を身に着け、その中から自ら疑問を見つけてそれを解き明かす面白さを、ここ筑波大学の社会学類で味わってみませんか。法学主専攻×園田 瑞樹社会学主専攻×渡邊 ほのか104主専攻から法学主専攻×園田 瑞樹社会学主専攻×渡邊 ほのか4主専攻から経済学主専攻×信夫 咲希政治学主専攻×小南 千紘11経済学主専攻×信夫 咲希政治学主専攻×小南 千紘11渡邊 ほのか(社会学主専攻)園田 瑞樹(法学主専攻)小南 千紘(政治学主専攻)信夫 咲希(経済学主専攻)

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