筑波大学入学案内 2022
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応用理工学類が係わる研究分野高精度計測・分析先端医療プラズマナノ加工 / 光源 / エネルギーワイドギャップ半導体72学類担当教員の研究紹介永続的に熱エネルギーを保存するスイッチング蓄熱材料!(物質・分子工学主専攻 所裕子研究室) 蓄熱材料とは、熱エネルギーを蓄えることのできる材料のことを言います。例えば耐熱材料として使われるレンガやコンクリートなどの顕熱蓄熱材料と、冷却シートとして利用されるエチレングリコールなどの潜熱蓄熱材料があります。このように蓄熱材料は私たちの生活に身近に存在していますが、これまでの蓄熱材料には、蓄えた熱エネルギーを時間とともに放出してしまうという性質がありました。そのため、限られた時間内に熱エネルギーを使う必要がありました。そこで私達の研究グループは、蓄えた熱エネルギーを永続的に保持でき、希望のタイミングでそのエネルギーを取り出すことができるような蓄熱材料を開発できれば、蓄熱を利用した省エネ技術の向上が期待できると考え、材料開発を行いました。開発したラムダ型五酸化三チタンという新しい材料は、蓄えた熱エネルギーを永続的に保存でき、圧力をかけるとエネルギーを放出するという、スイッチング特性をもつ潜熱蓄熱材料です。この技術を実際に応用できれば、熱資源の再利用によるエネルギー循環型社会の形成に役立つと考え、日々研究を行っています。上図:ラムダ型五酸化三チタンで発見されたスイッチング性能をもつ蓄熱特性。圧力でベータ型五酸化三チタンに相転移し、熱エネルギーを放出する(放熱)。また、加熱により熱エネルギーを蓄えるため(蓄熱)繰り返し利用することが可能である。

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