筑波大学案内 2026
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50学類長からのメッセージ先輩からのメッセージ生物資源学類長内海 真生生物資源学類を志す皆さんへ農林生物学コース 鈴木 葵 環境工学コース 山根 快斗 応用生命化学コース 野村 結南 社会経済学コース 高橋 萌  私は自然が豊かな環境で育った経験から、動植物に興味を持つようになりました。具体的に進路を決めたのは高校生の時で、将来環境保全に携われる仕事に就くためにはどうしたらよいか考えた結果、動植物について幅広く学べる筑波大学生物資源学類への進学を決めました。 実際に4年間の学生生活を通して、動植物に関する生理学や生態学、管理学といった幅広い授業を受講できました。中には泊りがけの実習もあり、実際に森の中に入って樹高を測定したり、のこぎりで木を切ったり、5日間思いっきり自然と触れ合えて楽しかったです。また、私は2年生の時にマレーシアのサバ大学に留学したのですが、熱帯雨林という日本とは異なる植生について学ぶことができ、自然を学ぶ上で視野を広げてくれる経験になりました。周囲にも留学をしている友達が多くいるため、筑波大学は留学制度も整っていると感じます。現地の食事や文化にも触れることができるため、学びを深めるためにも、大学生活を満喫するためにも、留学はおすすめです。 現在は、卒業研究として絶滅危惧植物であるハナハタザオの保全に関する研究を行っています。ハナハタザオはかつて日本に広く分布していたのですが、近年絶滅が進行した結果、現在では絶滅危惧種に指定されています。入学前から生物多様性の保全に関わる研究がしたかった私としては、日々の新しい発見が種の保全につながっていると思うとやりがいがあります。皆さんも自分が好きなことは何か、興味を持てることは何かよく考えて、ぜひ自分がやりがいを感じられる分野の勉強、研究をしてみてください。それが大学生活を楽しむことにもつながると思います。 私は幼少期からから生物、地理、歴史、物理など様々な分野に関心を持っていました。高校生の時はなんとなく「せっかく大学にいくなら一つの分野だけではなく色々な分野を学んでみたい」と思っていたものの、具体的に何を専攻、研究したいかまでは決まっていませんでした。 筑波大学生物資源学類は他大学の「農学部」にあたりますが、生物学や農業科学以外にも、数学、物理学、化学、経済学、農村社会学、森林科学などの自然科学、人文科学に関する多様な授業が開講されています。1・2年次では、これらの幅広い分野の授業を履修することができます。そして、様々な分野の基礎に触れた上で、3年次にコース選択をします。私が受けた授業の中で特に印象に残っているのは1年次の基礎数学と物理学、3年次の森林生物学実習です。基礎数学と物理学の授業では、単に数学や物理を学ぶだけではなく、「大学での学び方の姿勢」を身につけることができました。高校生の時はあまり得意ではなかった数学への苦手意識も無くなりました。森林生物学実習は、数日間八ヶ岳演習林に宿泊して山を歩いたり、標本を作ったりすることで植物の名前を覚える実習です。 色々な授業を受ける中で「森林についてもっと学びたいけれど、大学に入って面白さを感じることができた数学や物理、元々興味があった地理や歴史の知見も活かせる場所に進みたい」と思うようになり、環境工学コースを選択し、卒業研究では人工衛星を使った森林の研究をしています。 「既に生物資源学類でやりたいことがあるから生物資源学類を志望する」という方にはもちろんですが、高校生の時の私のように「やりたいことを見つけるために大学に行きたい」と考えている方にも生物資源学類はオススメです。 私は、地球温暖化による気候変動が引き起こす問題、とりわけ食料不足の問題に興味があり、農学について幅広く学ぶことができる生物資源学類への入学を志しました。 幅広い分野の授業や実習を受けていく中で特に興味を持ったのは、微生物の分野です。目に見えないほど小さな微生物が、温暖化などの地球規模の問題を解決する可能性を秘めていることに魅力を感じました。そこで、微生物について深く学ぶことができる応用生命化学コースを選択しました。 卒業研究では、マメ科植物と根粒菌が共生関係を築く際に、植物の根の周り(根圏)に存在する微生物が果たす役割について研究しています。根粒菌は、マメ科植物の根に根粒を形成し、大気中の窒素を固定して宿主植物に供給することで、宿主植物の生育を促進します。今までは宿主植物と根粒菌の1:1の相互作用が研究されてきましたが、根圏に存在する微生物がこの共生を促進する可能性があることがわかってきました。窒素固定を通して土壌の劣化を抑制し、植物生育を促進できる根粒菌がより効果を発揮できるようになれば、作物の収量増加や土壌の肥沃化といったように食料不足の問題解決に1歩近づくと考えています。 生物資源学類では、農学に関する非常に幅広い分野について学ぶことができます。すでにやりたいことがある人も、まだやりたいことが漠然としている人も、新たな分野に出会うことができるかもしれません。ぜひ、積極的に様々な分野に触れて、自分の手で学んでいくことの楽しさを味わってください。 開発途上国での農業開発支援の礎となる知識を学び得たいという一心、これこそがまさに私をこの場所に惹き寄せた原点です。世界人口を満足させることができるだけの食料が生産されているにも関わらず、途上国と先進国間で当然たるものとして存在する物質的な豊かさの差異に懐疑感を覚えた私は、まず人を動かす根源である「食」が平等に世界に存在するためにどのような耕作技術が必要であり、そして作ったものをいかにして分配することが望ましいのか、そもそも現在の世界における食料情勢はどのようになっているのかを学びたいと考えるようになりここで学ぶことを決めました。 生物資源学類に入学し、当初より関心のあった農学という自然科学的視点と農業経済学という社会科学的視点の大きく2つの分野の学びを通じて正解は現状の捉え方によって二様にも三様にもなるということを身をもって学ぶことが出来ました。正解は開かれる学問の数だけあるということを頭と体を使って学ぶことができる点は学類としての大きな魅力であると感じます。また「研究学園都市筑波」という他にはない稀有な立地を活かした研究機関と提携した学習機会を得ることができます。3年次に履修した国際農業研修Ⅱは、机上の知識だけでは見えない開発途上国の現実について、日本にいながら国際協力を行った経験を持つ協力員の方の視点と日本で稲作を学ぶために来日している研究員の方々の視点の双方から学び知ることができました。 志望する皆さんが生物資源学類に入学され学びの数だけある正解からご自身の正解を導く有意義な日々を送られることを祈念しています。 2023年11月、世界人口が80億人を超えたと国連から発表がありました。人間も他の動物と同様に、生きていくためには食べ物と水、そして生活できる環境が必要です。今後も人口は増えていくことから、食料の問題を考えなければなりません。その他、気候変動に伴う環境変化、環境維持・保全の問題にも直面しています。これらの課題解決に取り組み、持続可能な社会を構築していくためには生物資源学の考え方が必要で、農学や森林科学、応用生命化学、環境工学、社会経済学などの分野からの多面的なアプローチが求められています。生物資源学類では、動植物から微生物に至るまでの多様な生物資源を理解し、地球規模から分子レベルの課題まで、広い視野と高い専門性を持って取り組むことができる人材の育成を目指しています。そのために、幅広い分野の授業に加え、野外や農場での演習・実習、室内実験、海外インターンシップなど多くの科目を開講しています。また、学類に在籍する留学生が多く、留学する学生も多い国際的な学類です。 本学類で皆さんが楽しく学び、社会に貢献できるような人材に育っていくことを期待しています。教職員一同、皆さんのご入学をお待ちしています。

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