福井大学 VIEW BOOK 2022
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School of Medical Sciences 医学部遺伝子と外科療法の両輪を回す日本人の2人に1人が「がん」になり、3人に1人が「がん」で亡くなる時代です。私が研究を始めた30年前には、DNAやRNAといった遺伝子レベルの研究は困難でしたが、近未来には治療において重要な鍵を握る時代がやってきます。がん化の根源である「がん幹細胞」と、がんが増殖する過程で不可欠な「血管新生増殖因子」をターゲットに研究を進めてきました。その中で、がん細胞を選択的に攻撃し、正常な細胞を傷つけにくい「分子標的薬」につながる抗体を発見しました。一方、外科療法では、腹部内で拡がったがんに対する「温熱化学療法」「ロボット支援下・腹腔鏡下手術」「肛門機能温存手術」などの術式を先進的に行っています。ミクロな遺伝子の発現とマクロな病理画像の両面から、難治がんの克服をめざします。難治がんの克服をめざして五井 孝憲医学科 外科学(消化器外科・乳腺内分泌外科) 教授科学的に看護ケアを見直す看護師として勤務していた頃、“床ずれ(褥瘡)は看護の恥”と言われていました。褥瘡に苦しむ高齢者を目にするうちに、なんとか治したいという気持ちが強くなり、創傷専門の研究室でマットレス(体圧分散寝具)をテーマに研究を始めました。マットレスに敷くシーツに着目し、シーツと身体の接触圧を計ると、ピンと張ったシーツはゆるく敷いたときに比べて1.8倍も高くなることがわかりました。この研究を生かし、体圧分散マットレス専用の伸縮性のあるシーツを企業と共同開発しています。さらに、AIを用いて個人の体位変換に合わせた次世代の自動マットレスを実現できるのではないかと考えています。寝たきりの療養生活では、寝る、食べる、排泄する、ベッドの上がすべての生活の場。そんな患者さんに、雲の上で寝ているような心地良いベッドを届けたいのです。「雲の上で寝ているようなベッド」を届けたい四谷 淳子看護学科 コミュニティ看護学 教授私自身もまちのゆるキャラ「赤ふん坊や」の“マネージャー”として健康増進だけでなく地元愛を深めるようにと体操も考案しました。赤ふん坊やと一緒に普及に努めた結果、老若男女に幅広く浸透させることに成功。今では、かかりつけ医を持つ人が増えるなど町民の医療への関心が高まり、人々の繋がりが増えてまちは本来の「健康」を取り戻しつつあります。治療のみならず暮らしや人生を支える地域医療は面白いですよ。あるのではないか、と考え、この免疫機能の暴走を抑える物質の特定に着手しています。もちろんそれ以前にマスクと手洗いを徹底すること。無症状の感染者がいる以上、入り口でシャットアウトするのは難しいと判断し、院内でクラスターを作らないという方向性の対策をしています。誰にでもできる単純なことを、断固として実行すること。それが最強の感染症予防策です。 TO MY LABじょくそう17UNIVERSITY OF FUKUI

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