摩擦・摩耗・潤滑の科学私は「機械を、最小限のエネルギーで最大限長く使う」ことを目指し、2方向のアプローチで研究を行っています。まず1つ目は摩擦・摩耗の低減です。特に着目しているのは表面設計で、たとえばエンジンのピストン部分に0.001~0.002ミリメートルの窪みを付けるだけでも、そこに潤滑油が入り込んで摩擦を減らし、寿命の延伸や燃費の向上が実現します。またもう1つ、この潤滑油を用いた機械の状態監視システムの構築にも取り組んでいます。要は機械の健康チェックで、ちょうど、人間の血液検査のようなものですね。検査では分析の容易な「色」を見ます。センサーで基準の色との差異を調べ、例えば赤茶色なら油が酸化している、といった判断が可能です。既にこの検査機器は国内外で商品化されていて、今も世界のどこかで機械の健康を見守っています。血液検査ならぬ潤滑油検査のススメ本田 知己工学部 機械・システム工学科 教授水の循環を追究する水文学の挑戦すい もん がく水文学という学問をご存じですか。「水辺のブンガク」じゃありませんよ。土木工学の中でも、地球上の水の循環を追究する分野の名前です。モンゴルでは、近年、カシミヤの需要が世界的に高まってきたため、過放牧による砂漠化が進行しています。山羊は牧草の根まで食べてしまうのモンゴルの砂漠を緑の大地にモンゴルの砂漠を緑の大地に寺﨑 寛章工学部 建築・都市環境工学科 講師IoT時代の情報セキュリティを担う暗号の歴史は古く、古代ローマ時代、ユリウスカエサルがすでに暗号を使って情報のやりとりをしていたそうです。この時代からずっと、暗号の役割は秘密を保護することでしたが、ネットショッピングも盛んな現代では、情報の改ざんやなりすましの検知も重要な役割となっていま暗号技術は数学のアート廣瀬 勝一工学部 電気電子情報工学科 教授キューブサットの冒険とてつもなく莫大な費用、何千人もの科学者集団、国を挙げてのプロジェクト…。宇宙開発は、そんな壮大なイメージ? でも、現在では1辺わずか10㎝、重量1㎏ほどの超コンパクトな人工衛星(キューブサット)が作れてしまうのです。材料はネットショップで調達できるものもあるし、製作作業も机の上で、パソコンを組み立てるように…。さて、そのキューブサットにどんなミッションを与えるか。私は広いエリアの空間情報と分光情報とを合わせて測定するハイパースペクトルカメラを開発して、宇宙空間から地上の農地を観測する方法を考えています。クロロフィルなどの成分によって異なる反射率の差を見分けることで、品種の判別や生育の観察が全土に渡って可能になります。宇宙は見上げるだけでなく、使いこなす時代なのです。デスクトップで宇宙開発?青柳 賢英産学官連携本部 特命准教授WELCOME 30UNIVERSITY OF FUKUI
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