福井大学 VIEW BOOK 2023
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UNIVERSITY OF FUKUI VIEWBOOK 2023講師口分田政史KUMODE Masafumi教育学部(専門分野:数学的認知 カリキュラム・授業設計)08算数・数学の教育を考える上で、子どもがどのように世界を認識しているかに意識を向けることは重要です。たとえば図形の分野に関連して、子どもに「どちらの角度が大きいか」と尋ねる場合を考えます。数学的には、「1点から出る2つの半直線の隔たりが大きい方」を選べば正解ですが、「辺が長い方を選ぶ」といったように、子どもは角度を長さと混同する傾向が見られます。このような子どもの認識は、興味深いものである一方、算数・数学を理解する上では妨げになる場合があります。算数・数学の授業は、こうした子どもたち一人ひとりの認識を考慮して設計される必要があります。学問分野誤概念を取り除けば、理解が変わる角度だけでなく分数や速さの概念など、複数の分野で子どもは 同様な「誤概念」を持ち合わせています。幼少期から適切な方法で誤概念を取り除いてあげた上で、算数・数学を教えていくと、子どもの理解の仕方は変わっていきます。私は、子どもの認識に基づいて算数・数学学習について分析を深め、より効果的な教え方を確立するための研究や、教育現場への提言を行っています。こうした研究を通して世界中に算数・数学好きの子どもが増えればと願っています。数学教育学算数・数学の授業設計に子どもの認識は生かされているか

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