福井大学 VIEW BOOK 2023
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UNIVERSITY OF FUKUI VIEWBOOK 2023准教授片山正純KATAYAMA Masazumi工学部機械・システム工学科(専門分野:計算論的神経科学/認知科学)12私たちは普段、周りの状況を把握し、さまざまに行動しながら生活しています。しかしそれは、何気なく行っており、ほとんど意識することはありませんが、人の脳内では高度な能力を発揮しています。コップで水を飲みたいときにさまざまな形やサイズのコップがあっても、瞬時に好きな「コップ」を見つけ出して、コップをつかんで水を飲むことができます。そのような認知や動作を可能にする脳の仕組みを理解しようというのが私たちの研究です。認知や動作をどのように行っているかを知るための「心理学的アプローチ」と、脳の中でどのように計算しているかをモデル化する「計算論的アプローチ」の両面から研究を進めています。学問分野2つのアプローチで、人の認知や動作への理解を深めるたとえば心理学的アプローチによる実験では、対象物をつかむ運動などについて調べており、いままでに見つかっていなかった新たな現象を発見し、その現象に関する脳内メカニズムが明らかになってきています。このようなシンプルな実験でもアイディア次第で新たな知見が得られています。また、仮想空間内の身体(アバター)に対する身体意識(自分の身体であると感じるかどうか)についても調べています。後者の計算論的アプローチでは、対象物まで手を伸ばす運動などを調べていて、脳内でどのように計算しているかが明らかになってきています。ロボットやVR技術の発展に伴い、いま、人の認知や動作へのより正確な理解が求められています。今後この分野の研究はさらに注目度が高まりそうです。知能システム人はなぜ、いろいろな物を認知しさまざまな動作ができるのか

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