福井大学 VIEW BOOK 2024
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 じっとしていることが難しい子、運動が苦手な子、相手の立場に立つのが難しい子、読み書きや計算がとても苦手な子など、いろいろな子がいます。なぜこのような難しさ・苦手さが生じるのかを、脳の情報処理の観点から明らかにするのが私の研究です。インクルーシブ教育という言葉を知っているでしょうか? さまざまな特徴のある子どもたちが一緒になって、教科の勉強から遊びや世の中のことなどさまざまなことを学ぶ教育のことです。このインクルーシブ教育の実現のためには、最 読み書きや計算に困難のある学習障害の児童は40人学級で1〜2人の割合でいると言われています。それほど多くいるにもかかわらず、外からは見えにくいので誤解を受けやすく、大きな困難を抱える子も多いです。しかし適切な支援を受けることで力を十分に発揮できます。私が研究してきたのは学習障害の一つである算数障害です。例えば「3(数字)」と「さん(呼び方)」と「3つのリンゴ(具体物)」を結び付けることが難しかったり、数字で2と8どちらが大きいか分かるけれど、量として直観的に理解することが難しかったりすることが原因で計算等に困難さを示すといったことが起きます。できないことから苦手意識が初にあげたような難しさ・苦手さのある子への支援や配慮が重要になります。充実したインクルーシブ教育ができれば、障害のあるなしなどにかかわらず、さまざまな人たちが一緒に充実した生活を送れる社会である共生社会につながると思っています。共生社会の実現には何が必要か、インクルーシブ教育においてどのような支援や配慮が必要か、などに興味がある方がいたら、ぜひ一緒に勉強をしましょう。生まれ、つらい気持ちへと落ち込んでいくことも多く、この負の連鎖にストップをかけたいと思っています。卒業研究では、算数の苦手なお子さんとの個別学習での関わりをまとめています。苦手な能力と得意な能力を見つけて、その子の得意な能力を生かした学習支援をしていき「できない」という不安と劣等感を、「こうすればできる」という安心と自信につなげていきたい。そんな思いで取り組んできました。私は卒業後は小学校の教員になります。みんなの個性を認め合い支え合う、そんなクラスを作っていきたいです。04UNIVERSITY of FUKUI VIEWBOOK 2024教育学部藤岡 徹 准教授FUJIOKA Toru専門分野:特別支援教育教育学部 学校教育課程初等教育コース3系4年次漆崎 瑞季 さんURUSHIZAKI Mizuki教育学部ともに学び合うことを通して多様な人たちが共存し学び育つそんな社会を実現したい「できない」不安から 「できる」安心へ誰一人取り残さない教育の未来

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