東京大学 大学案内 2026
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国 語地 理 歴 史・公 民 過去と現在、世界の各地域など、人間社会で一見バラバラに起こっている事象は相互に関連しています。それらについて一 定 の 知 識を身につけることはもちろん必 要ですが、東京大学は細部にわたる知識の量ではなく、知識を関連づけて分析、思考する能力を重視します。そうした能動的で創造的な思考力は、暗記を目的とした勉強ではなく、新聞やテレビなどで報じられる現代の事象への関心や、読書によって養われる社会や歴史に対する想像力を通じて形成されます。そのため本学を志望する皆さんには以下の点を期待します。それに留意して学習に励んでください。1) 総合的な知識本 学 は 、狭 い 特 定 分 野 の 知 識 や 能 力( い わ ゆる「 一芸」)ではなく、幅広く、総合的な知識を求めます。それが複雑な社会現象を理解する上での前提となるからであり、狭い視野から導き出される結論は独善的なものになりがちだからです。地理歴史の入試問題においても、幅広い分野からバランスよく出題するようにしています。ただし、入学試験の解答に必要とされる知識の程度は、現行の高等学校学習指導要領を超えるものではありません。2) 知識を関連づける分析的思考力地理歴史・公民の各科目では、便宜上の理由から、様々な知識が細切れに習得されることになりがちですが、そのような各分野の知識を関連づけて理解する能力が求められます。そのためには、入学試験で選択する科 国語の入試問題は、「自国の歴史や文化に深い理解を示す」人材の育成という東京大学の教育理念に基づいて、高等学校までに培った国語の総合力を測ることを目的とし、文科・理科を問わず、現代文・古文・漢文という三分野すべてから出題されます。本学の教育・研究のすべてにわたって国語の能力が基盤となっていることは言うまでもありませんが、特に古典を必須としているのは、日本文化の歴史的形成への自覚を促し、真の教養を涵養するには古典が不可欠であると考えるからです。このような観点から、問題文は論旨明快でありつつ、滋味深い、品格ある文章を厳選しています。学生が高等学校までの学習によって習得したものを基盤にしつつ、それに留まらず、自己の体験総体を媒介に考えることを求めているからです。本学に入学しようとする皆さんは、総合的な国語力を養うよう心掛けてください。 総合的な国語力の中心となるのは1) 文章を筋道立てて読みとる読解力2) それを正しく明確な日本語によって表す表現力の二つであり、出題に当たっては、基本的な知識の習得は要求するものの、それは高等学校までの教育課程の範囲を出るものではなく、むしろ、それ以上に、自らの体験に基づいた主体的な国語の運用能力を重視します。  その た め 、設 問 へ の 解 答 は 原 則としてすべて記 述 式となっています。さらに、ある程度の長文によってまとめる能力を問う問題を必ず設けているのも、選択式の設問では測りがたい、国語による豊かな表現力を備えていることを期待するためです。東京大学を志望する皆さんには、前掲のアドミッション・ポリシーにも明示されているように、本学に入学するまでに、できるだけ多くのことを、できるだけ深く学んでほしいと思います。以下、本学を受験しようと考えている皆さんに向けて、高等学校段階までの学習において、特に留意してほしいことを教科別に掲げます。THE UNIVERSITY OF TOKYO 202602高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと

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