留学中の成果を国際会議にて発表@バンクーバービッグベンと赤い電話ボックス@ロンドンUNESCOスタッフとしての日々みんなで出身国の料理を持ち寄ったパーティー日本人会@チューリッヒ寮のイベントでリンボーダンスお誕生日を祝ってもらいました美しい街を背に、夜中までおしゃべり学びと出会い、そして拓かれた未来自分と向き合い、未来へ踏み出す 修士1年の秋から10ヶ月間、全学交換留学の制度でスイスの E T H Z u r i c h に 留 学しました 。C o m p u t e r Science専攻として、世界トップレベルの環境に身を置く貴重な機会を得ました。 人工知能(AI)とその安全性に関心があり、それに関連する授業を中心に履修しました。最先端の内容が整理された刺激的な講義が多かったです。宿題は論文の再現実装や証明が中心で、授業と研究活動の密接な結びつきを感じました。東大の学部で培った「広く浅い」知識を土台にし、「狭く深い」知識を身につけられたと感じます。日本では「学部生は授業履修、修士学生は研究が主」という傾向がありますが、ETHをはじめ海外の多くの大学では、修士課程でも授業履修が主体であり、それに伴い発展的な授業が充実している印象を受けました。 学業の傍ら、旅行で計10カ国を訪れました。他国への移動は非常に便利で、例えばチューリッヒからロンドンまでは片道2時間弱、約5000円のフライトで移動できます。ミュンヘンでの本場のオクトーバーフェスト参加、日本人選手が活躍するブライトンやソシエダのサッカー観戦、2週間での弾丸イタリア縦断旅行など、多くの都市を巡りました。 留学中に出会った人々の存在も欠かせません。授業でチーム課題に取り組んだ仲間、寮で共に過ごした友人、現地の日本人コミュニティの方々とは、今でも連絡を取り合っています。 学術面の話に戻ると、ETHでは、PhD学生の指導のもと研究プロジェクトを体験する授業も用意されています。 私は、3年生の秋から1年間、フランスに留学しました 。パリ政 治 学 院で勉 強し、夏 休 み は パリに あるUNESCO本部でインターンをしました。 当初の留学目的は、公共政策の知識を身につけることと、1年生の時から勉強してきたフランス語を磨くことでした。東大で教育格差について学ぶ中で、制度や政策を通じた社会課題への対処に関心を持ちました。そこで、パリ政治学院では公共政策の授業を履修し、教育政策や社会保障政策についての知見を深めました。フランス語での授業にも挑戦し、学生と教授による激しい議論に圧倒されながら懸命に学びました。 また、留学中に新たに芽生えた問いがあります。それは、「戦争・紛争によって日常の根幹が覆されるとき、教育は無力なのか」というものです。ウクライナから避難してきた友人や、ガザ情勢の悪化を受けて留学を中断した中東出身の友人の存在から抱いたこの葛藤に向き合うべく、UNESCO本部の「移民・避難民・緊急事態と教育課」でインターンをしました。3ヶ月間の勤務中は、上司と同僚に恵まれ、非常に多くを吸収しました。アフリカの難民を対象とした案件や、日本政府がドナーのウクライナ支援に携わる中で、自分の将来したいことが少しずつ見えてきました。私にとって、留学は「立ち止まって自分の声に耳を澄ませ、未来への一歩を踏み出す時間」だったと思います。留学前は、学生団体での活動や学業、アルバイト等に追われ、一瞬の余暇もないほど忙しい生活を送ってい私もこれを履修し、そこで行った研究がAI分野のトップ国際会議であるNeurIPSに採択されました。また、この成果を主たる業績とし、東大の情報理工学系研究科より研究科長賞を受賞しました。さらに、プロジェクトの指導教員から誘いを受け、2025年夏からETHで博士課程に進学することになりました。 留学前には想像もしていなかった展開が待っていました。留学を通じて得られるものは多岐にわたりますが、その経験が間近な未来を予想外の形で切り拓く可能性があるということも、留学を検討する動機の一つにしていただければと思います。ました。もちろん、その全てに熱中して打ち込んではいたのですが、いつの間にか息切れを感じ、自分を見失いかけていました。そんな中、フランスでの生活は、私に心のときめきを取り戻させてくれました。勉強が好き、語学が好き、他人と対話し、多様な文化や価値観に触れることが好き。留学を通じて自分と向き合い、忘れかけていた私の「好き」や「楽しい」を1つ1つ拾い集めることができたように思います。こうして自分の声に耳を澄ませた時間と、留学先でのかけがえのない出会いたちは、私にとって生涯の財産であると確信しています。皆さんも、自分を過小評価しすぎずに、ぜひ東大が与えるあらゆる機会を活用してみてください!情報理工学系研究科 電子情報学専攻 2025年3月修了教育学部 比較教育社会学コース 4年THE UNIVERSITY OF TOKYO 202654江頭 和希 えがしら かずき清 若菜 きよし わかな世界各地の大学へ留学する日本人学生の数も、世界各国各地域から訪れる外国人留学生の数も、年々増加しています。語学習得のみならずグローバルな感覚、真に異文化を理解する感性と国際的キャリアを拓くことができるのは海外留学の大きな魅力です。東京大学は教育の国際化を推進し、多くの学生が世界各国で友好の輪を広げています。留学経験者の声
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