高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと情 報2) 英語を用いて表現する力 同様の場において、自分の意見や考え方を、相手にわかってもらえるように、正確な英語を用いて表現する力も必要不可欠です。英語を使って表現する力は、英語という言語の仕組みの理解の上に養われます。3) 理解と表現を連動させ総合的に運用する力現実のことばの運用では、情報は「発信」あるいは「受信」という形で一方向的に伝えられるわけではなく、誤解を解いたり視点を共有したりといった、参加者同士の協力による相互理解のプロセスが加わります。相手の立場や心の中を想像し、理解し、解釈しながら、自分の表現を模索するためには、1)と2)の力を連動させ、総合的に運用することが重要です。 東京大学の教養教育では、上記のような相互理解を可能とする総合的な外国語の運用能力を身につけるために様々なカリキュラムを提供します。本学を志望する皆さんは、高等学校学習指導要領の範囲内で、そうした外国語のカリキュラムに対応できる能力として、総合的な外国語の運用能力の基礎となる力をつけることを心掛けてください。 人間のすべての知的営為は、科学や芸術、社会活動、日常生活に至るまで情報と不可分です。近年の情報技術の発展により、扱う情報の量は膨大になっています。そのため情報やその処理に対する本質的な理解と、その理解に基づいた応用力が求められています。 東京大学の学部前期課程(1、2年生)では、東京大学で学 ぶ 学 問 の 基 礎 の ひとつとして、文 科 理 科 にか か わらず「情報」を必修科目にするとともに、様々な関連科目を提供しています。入学前には情報社会に主体的に参画することを見据えて、情報に関する科学的な見方・考え方の習得に努めてください。本学の入学試験では大学入学共通テストのみを課します。入学試験で求められる知識や技能は学習指導要領の範囲内になりますが、本学入学後には以下のような力の獲得が求められます。1) 情報を解析する力情報の量が飛躍的に増大する現代においては、対象を正しく捉えることが 重要です。注目する対象を正確に理解するために、対象となるものや事象を必要かつ十分に表す情報を取捨選択するとともに、情報を適切に整理してモデル化する解析力が必要となります。2) 情報の処理手法を構想する力問 題を解 決するた めに は 、取 得され た 情 報を利 用して、未知の解を求めたり、最適な選択を行ったり、将来を予測したりすることになります。その際の情報処理に誤りがないだけでなく、限られた計算資源や時間で処理を完了する必要があります。問題の本質を見極めて情報を正確にかつ効率よく処理する手法や手順を構想する力が求められます。3) 情報を表現する力解 析 や 問 題 解 決 によって得られ た 情 報 は 、利 用 に あたって適切な形式で表現されなくてはなりません。たとえば、他者に提示するためには誤解なく容易に理解できる表現形式が 求められますし、場合によって機密性など安全性への配慮が求められることもあります。目的や状況に応じて、情報を適切に表現する力が必要とされます。 これらの力を発揮するためには対象や目的に対する知識や考察力も欠かせません。高等学校での学習にあたっても、3つの力を念頭に、様々な科目を広く深く学ぶとともに、情報との関連性を意識していただきたいと考えています。THE UNIVERSITY OF TOKYO 202605
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