富山大学 人間発達科学部 学部案内2019
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教育心理コース発達教育学科 健康心理学とはその名の通り、人の心身の健康に関する心理学の総合的な名称です。でも、そもそも“健康”とはいったいどんな状態でしょう。病気とは対極にありそうですが、かの世界保健機構(WHO)も『健康とは単に疾病又は病弱の存在しないことではない』と言っています。まして目に見えない「こころ」の健康とは何なのか。 本講義では、そんな分かりにくさをかみしめつつ、身体の健康と「こころ」の関係、病気になりやすい/なりにくい性格、身体の痛みと「こころ」との関係など、様々な健康心理学のトピックを紹介していきます。さらに、リラクセーション技法や見方を広げるワーク、自己分析のワークなど、様々な心理学的支援技法の体験を通して、「こころ」の健康とは何か、どのような状態なのか、様々に思いを巡らせていきます。 自分の性格、あの人の性格、そして性格と性格の相性…性格は、いつの世も人にとって大きな関心ごとの一つであり続け、そして心理学でも同様に、重要な研究分野の一つであり続けています。しかし、一口に性格といっても、目に見えず手に取れないそれは、かなり捕まえにくいものです。“やさしい”性格ってどんなやさしさ?“まじめ”って言葉が意味するところは?…性格の不思議は、挙げれば尽きることはありません。 性格心理学では、こういった性格をどのように捉えて研究しているのか。性格の様々な理論や、性格がどのように形作られているのかについて最新の研究を踏まえてしっかりと解説していきます。この授業を受けると、自分やあの人の性格の理解が深まるとともに、根拠の全くない血液型性格占いがなぜ当たっているように錯覚するのか、よく理解できるようになるでしょう。 心理学は大きな分類としては社会科学に含まれる分野であり、他の社会科学と同じように、客観的・科学的な手法にのっとって人の「こころ」を分析し、その一般的傾向や法則性を見出していく学問です。そこで重要になってくるのは、分析対象となるデータを客観的・確かな形でどのように集めるか、といった収集方法や、得られたデータを体系的に解析して豊かな情報を引き出していくための分析手法です。 心理学の研究対象である「こころ」は捉えどころのないものなので、ターゲットとして幅が広く、そのためデータの集め方や分析手法にも多くの種類があります。この授業では、心理学の研究論文を調べて読むことで、科学としての心理学的データの集め方や分析手順を学んだり、それらを踏まえて実際にデータを集めて分析してみたりすることで、心理学の研究の“作法”を実際的に学びます。心理学研究法健康心理学性格心理学 臨床心理学は幅広い心理学分野の中で、心理療法・心理アセスメント・カウンセリングといったトピックを含み、心理的な困難を抱えた人の支援にかかわる、実践の学です。さらに、心理的な困難を多角的に理解するため、精神医学や異常心理学といった近接領域のトピックも関係してくる、とても幅広い学問分野になります。 この授業では、このように幅広い内容からいくつか重要なものを取り上げて、丁寧に解説していきます。無意識的な「こころ」の影響であったり、具体的な行動の改善であったり、「こころ」の自己治癒力的な話も含みます。 この授業を通して、心理的な適応・不適応とは何かについて深く問いかけ考えることにより、自分自身のメンタルヘルス、ひいては自分自身の来し方行く末を考える、良き機会になるかもしれません。 どのような味の料理ができるかはそのレシピ次第であるように、私たちの人生においてどのような“リアリティ”が構成されるかは、その方法つまり“生”のレシピ次第です。 科学的な実験についても事情は同じで、その結果はその方法に依存しています。特に心理学の研究においては、研究する側にも「こころ」があるため、実験の手法や結果の読み取りに、先入観をはじめとする様々な歪みが生じる危険があります。そういった危険性や限界の留意点を踏まえつつ、しかし一方で、人の「こころ」の不思議に巧みなアプローチをかけ、人の心の一端を科学的につまびらかにする、そんな心理学の多様な実験手法について、実際にいくつか体験しながら、学んでいきます。 この体験はもしかしたら、あなたに心地よい衝撃=アハ体験を与える、かもしれません。心理学実験法臨床心理学 私たちの目はカメラと違います。耳はマイクと同じでなく、そして脳はパソコンのCPUとイコールではありません。つまり私たちの「こころ」は、世界をそのままに受け止めて認識しているわけではないのです。私たちは、私たちが意識的無意識的に作り上げた“世界”を、「こころ」を通して知覚し、その中で生きているのです。 この授業では、実際の錯視(目の錯覚)素材などをとおして、我々が“世界”(物理的な刺激)をただそのままに“知覚”しているわけではない、ということをまず体験し、そのうえで、では我々はどのように“世界”を作り上げているか、「こころ」の不思議なメカニズムについて学んでいきます。ロボットと人はどこまで同じでどこから違うのか…この授業では、ヒトとは一体何なのか、考えさせられること間違いなしです。知覚心理学学校教育コース発達教育学科 この講義では、学校から地域へどのような連携を投げかけて交流を行ったらよいのかについて、求められる知識や態度を育成することを目的にしています。毎回、学校における地域交流活動の事例を紹介したり、ゲストスピーカーを招聘したりして、最終的には、受講生が企画した地域交流活動を画用紙1枚にまとめてプレゼンテーションを行います。 写真は、黒部市美術館の学芸員さんに館の活動についてお話をしていただいているところです。 小学校で音楽の授業を担当する教員として必要な知識と技能を身につける科目です。写真は、グループに分かれての教材研究で、「こきりこ」を歌とリコーダー合奏に編曲してやってみようというものです。 この講義では、「教育とはそもそもどんな営みだろうか」、「過去と現在で教育や学校のあり方にどのような変化があるのだろうか」といった問いのもと、教育をめぐる理念や思想、歴史について学習します。こうした学習を通して、教育学の各分野や各教科の指導法を学んでいくための土台を固め、また、現代社会における教育や学校の意義・可能性・課題について自ら批判的・創造的に考える力を養うことを目指します。教育の思想と歴史地域交流活動論音楽科教育論 この講義では、小学校の図画工作科の授業を担当するために必要な知識や技能を獲得することを目的にしています。毎回、実際に小学校で使用されている教科書を用いて班ごとに教師役の学生が模擬授業を行いながら、指導に求められる基礎的な事項や理論について学ぶことができるようにしています。写真は、6年生の「くるくるクランク」の導入を教師役の学生が行っているところです。 この講義では、「なぜ理科を学ぶのか」、「理科の学習指導方法論には、どのようなものがあるか」といった、理科の授業を行う上での基盤となることについて学習することに加えて、小学校理科で行われる観察・実験を自らが体験しながら、授業を担当するために必要な知識や技能が獲得できるように配慮しています。さらに、小学校理科の授業参観や、自分自身が教壇に立って授業を行う模擬授業を通して、実践力の向上を図っています。理科教育論図画工作科教育論 総合的な学習の時間は、教科の学習と異なり、教科書がありません。児童生徒が自ら学習の課題を設定し、情報を収集し、それを整理・分析し、その結果をまとめ、表現します。この講義では、児童生徒が自ら課題を設定するための教師の支援、児童生徒が主体的に情報収集を進めるための教師の支援などを学びます。文献等を基にしながらも、受講者同士の話し合いを中心にして、具体的な支援や指導の方法等を考えます。教師になったときに必要な実践的な力を付けることをねらいます。総合学習教育論授業や研究の様子13

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