富山大学 医学部 2019年度学部案内
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トレーサー(追跡子)実験は必要不可欠な手段となっています。本キャンパスにはこうした施設や機器を共同利用する場を提供する生命科学先端研究センター(動物実験施設,分子・構造解析施設,遺伝子実験施設,アイソトープ実験施設)があります。 動物実験施設には,温度,湿度がよくコントロールされた一般動物の飼育室のほか,遺伝子改変動物飼育室,SPF動物(特定の微生物や寄生虫のいない動物)飼育室,感染動物実験室及び手術室等の設備が設けられています。また近年,特に動物実験に対しては動物福祉の立場から,より少ない犠牲でより大きな成果をあげる努力が求められており,各実験者はもとより,センターとしてもこの点に配慮した運営を行っています。 分子・構造解析施設には,各種の分離,分析装置から工作機器にいたるまで,最新鋭の機器が設置されています。主要なものとしては,超遠心機,電子顕微鏡,質量分析計,核磁気共鳴装置,電子スピン共鳴装置,元素分析装置,各種分光光度計,X線構造解析装置,蛍光顕微鏡,画像解析装置,フローサイトメーター,ペプチド合成装置,各種工作機器等があげられます。いずれの装置も学内の実験者に広く使用されています。 遺伝子実験施設では,生命科学の重要な研究法である,いわゆるバイオテクノロジーを駆使して,遺伝子の構造や遺伝情報の利用の特徴ある仕組みを知るための研究が行われています。生命が維持されるためには秩序正しく配置された多くのタンパク質がその機能を表す必要があります。遺伝子の塩基配列の突然変異によりタンパク質の構造の変異が起こり,正常な機能を失ったり,逆に異常な機能が表れ,それが病気の原因になることもあります。遺伝子から個体までを対象とする分子生物学の研究は,正常な人のからだの働きの仕組みや病気の成り立ちを知るために不可欠な情報を我々に与えてくれるのです。また,これら情報の一部が,治療に役立つタンパク質を患者さんの体内で強制的に作らせることを基本とする,いわゆる遺伝子治療に応用されることも将来はますます増えていくでしょう。 RIを使用する施設は法令で厳しく規制されており,本キャンパスでの研究用RIの使用はすべてアイソトープ実験施設で行うことになっています。施設内の放射能レベルは,行き届いた管理によって,ほぼ施設外と同程度に保たれています。施設内には液体シンチレーションカウンター(主としてベータ線の測定),オートウェルガンマカウンター(主としてガンマ線の測定)やガンマ線スペクトロメーター(ガンマ線のエネルギー解析と定量)などの放射線測定器をはじめ,トレーサー実験に必要な機器が設置されていて,各種薬物の取り込み,代謝実験,ホルモン,タンパク質のラジオイムノアッセイのほか,近年,各種遺伝子とその調節機構に関する実験,薬物受容体に関する実験が,いずれもRIをトレーサーとして行われています。5生化学講座の研究成果が米国科学雑誌の表紙を飾る基礎医学Fundamental社会医学Social臨床医学ClinicalScience&Art

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