富山大学 医学部 2019年度学部案内
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一方,研究に関しては臨床的な課題を中心とした臨床研究が行われていることはもちろんですが,臨床医の発想に基づく基礎研究も盛んに行われています。これらの研究成果は臨床に還元されるとともに,教育にも反映されることになります。特に本キャンパスには,薬学部,和漢医薬学総合研究所及び附属病院が併設されていますので,これらの研究機関が密に連携した学際的な研究が可能であり,バイオテクノロジー,医薬品・和漢薬の開発面で特徴を発揮してきました。前世紀末から今世紀にかけての最大の研究課題は,がん,老化,高次神経機能等の解明,再生医療の発展であり,世界的にみてもこれらの領域での研究が活発化しています。特に臨床との関連の深いがんについては,本学でも基礎的研究ではがん遺伝子の探究,がんの発生・進展と宿主免疫との関係,また治療面では外科的治療のみでなく,各種の抗がん療法,放射線治療,温熱療法,免疫療法等を統合する集学的治療の研究が行われています。加えて,ヒトの全ての遺伝子の解読というゲノム計画を背景に,先天性疾患やがんなどの遺伝子診断が積極的に導入され,遺伝子治療の臨床応用に向けての様々な基礎的研究が行われています。この間,本学の大学院医学系研究科(現医学薬学教育部)(4年制)の課程を修了して医学博士の学位を取得した者も1986年の第1期生以来多数おり,本学スタッフの中心的存在になっています。 医学部における国際交流も活発化し,従来の先進国への留学を中心とした交流のみでなく,発展途上国への援助,協力という幅広い国際交流が生まれ,富山県という1地域にとどまらず,世界のさまざまな領域での指導性が要求されるようになってきました。今後ますますこのような要求は高くなると考えられ,これらに積極的な姿勢で対応することは我々の将来の発展にも深く関連すると考えられます。 以上,臨床部門における教育・診療・研究の現状を述べましたが,創設以来苦楽を共にしてきた教職員同士の連帯意識は強く,これが本キャンパスの大きな力となっており,患者さんや地元からの好評の源泉にもなっているものと自負しています。しかし,まだまだこれで十分という状態には至っていません。若い皆さんの参加を待っています。7基礎医学Fundamental社会医学Social臨床医学ClinicalScience&Art医学科生の実習風景最新の医療機器を活用した手術室
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