電気通信大学 大学案内2020
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広田光一教授夏目英里さんKouichi HIROTA大学院 情報理工学研究科情報学専攻Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム教授Koui大学院情報学Ⅰ類(情メディ教授授ん総合情報学科 4年茨城県 私立茨城高等学校出身Eri NATSUME広田 当研究室では、VR(仮想現実)と人間との相互作用(Interaction)についての研究を行っています。VR環境で手をモデル化し、物に触れる感覚を再現する研究や、VR環境の中で人間が自分をどのように認識するのか、そこからどのように情動が変化するのかといった研究まで、幅広いテーマを扱っています。夏目 私の研究は、VR空間内のアバター(自分の分身となるキャラクター)に自分の動きを組み込んだ場合と他人の動きを組み込んだ場合、自分の動きをどう認識するのか、さらにその認識に対して自意識がどのように関わっているのかというような、心理学的なアプローチをしています。広田 今所属している学生は心理学的なアプローチをする人が多いですね。もともと私は、VRの黎明期に、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を被ったり、大きなスクリーンを使ったりすることで没入感を増すだけではなくて、もっとインタラクティブな部分が現実感を持ってこなければ、VRは現実の代わりにはなり得ないのではないかと考えて研究を始めました。その延長として、単に手のモデル化のような工学的な研究だけではなくて、感触や「これが自分の手だ」と思えることも大切だろう、という流れで心理学の分野にまで範囲が広がってきた形ですね。夏目 私の場合、研究室に所属した当初はVR環境での触覚について研究してみたいと思っていたのですが、のちに興味の対象が変わって、VRと認知科学を組み合わせた研究をしたいと思うようになりました。あのとき先生に快く背中を押していただけたのがありがたかったです。広田 興味がわかないと身を入れた研究をするのは難しいですからね。ただ、やると言った以上は責任を持って主体的に取り組んでもらいたいので、厳しいことを言うときもありますよ。夏目 確かに、「ここは曖昧だな」と思っている部分があると、先生は必ず突っ込んで聞いてくれますよね。広田 ただ、この分野では、説明できないけれど面白い、というテーマを扱うことも多いんですよね。その面白さを追求した結果として、本質的な技術が見つかり、応用の可能性も広がっていくはず。私はそう信じています。夏目 それはまさに私がオープンラボのときに感じた気持ちと同じです。「目の前の空間にはなにもないのに、手のひらに感触がある。よくわからないけど面白い!」それがこの研究室に興味を持つきっかけでしたから。研究は楽しいものだと最初に気づかせてもらえたことは、私にとって大きな意味があったと思います。広田 そう言ってもらえると嬉しいですね。夏目さんは学域卒業後の進路は決まっているんだっけ? 夏目 はい。海外へ留学をするか、心理学を本格的に学ぶか、いろいろな可能性を検討しています。こうして視野を広げて進路を考えられるようになったのも、先生の元で学んだおかげです。広田 私としてはこの研究室に残って成果を挙げてほしいけれど、自分の興味が一番ですからね。VRは、電子的なコミュニケーション環境の中で育ってきた今の若手世代が感性を発揮しやすい分野です。心から皆さんの活躍を期待しています。“面白い”を追求し続けた先に、本質的な技術が見つかり、応用の可能性が広がる心理学をテーマに絡めて未知の領域を探るVR空間のアバターの動きを認識するとき、自意識がどのように判断を左右するかを探るのが卒論のテーマ。「個人差もあるし考え方や思想にも左右されるのが難しい部分。それだけに深く研究されていない部分もあり、発展性を感じます」最初に〝研究は楽しい〞と感じられたことが、今の私の原点です興味を持ったテーマを研究するのが一番。主体性を忘れずに取り組んでほしいVR環境での操作から人間の特性を探る研究まで、幅広いテーマを扱っている。認知心理学の特任助教や、産業界から客員教員を招き、指導を受けることで、学問分野を超えたアプローチを行う。博士前期課程3名、学域生2名が所属。研究キーワード:触力覚提示、バーチャルリアリティ、VR、仮想現実、ヒューマンインターフェース、ヘッドマウントディスプレイ、HMD、手モデル、仮想粘土モデル、アバター、触覚デバイス、インタラクション、モーションキャプチャ研究室概要3

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