電気通信大学 大学案内 2021
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コンピュータの未来を切り拓く最先端テーマへの挑戦西野 私自身は数学寄りのコンピュータサイエンスという分野で、計算量理論や量子計算論、認知計算論などを研究していますが、研究室では、この分野の話題性の高いテーマを数多く取り上げています。その一つが今や大ブームとなったAIと自然言語処理で、秋元くんの研究もこの分野だね。秋元 私は話し言葉入力による大学図書館の検索に特化した「対話型図書検索システム」を開発しています。例えば「統計学についての本を探しています」と入力すると、システムが図書館データベースや書籍情報にアクセスし、「どんな目的で借りるの?」「どういう本だと嬉しい?」といった質問を返してきます。3~4回程度のやりとりで求める内容の本にたどりつくことができ、的確な検索ワードがわからない場合でも本を探せるため、テストユーザーには既存の検索システムより高い評価を得ることができました。西野 他にもゲーム情報学の分野では、トランプゲームや人狼ゲームのような「多人数で行うプレイヤー同士に隠し事のあるゲーム」の戦略研究の一環として、参加者が作ったプログラムをコンピュータ上で対戦させる「UECコンピュータ大貧民大会」を毎年学園祭で開催しています。また私の研究室は日本でいち早く量子コンピュータの研究を手掛けましたが、これも今や本格的な実用化に向け世界の熱い視線が集中する分野ですね。電通大は理論を用いた実践を目指す人が多いためか、どのテーマも数学の範囲だけで完結はせず、ものづくりと密接にリンクしていることが特徴です。こだわりを一心に見つめ堅実な努力を未来に積み重ねていく西野 工学的な研究を深めれば深めるほど「機械とプログラムでの再現がこれほど困難なことを、人はなぜ簡単にできるのか」という根源的な問題に触れることになります。人の営みの凄さを思い知らされるとともに、工学の視西野哲朗 教授情報理工学域 Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム教授量子ビットを用いたアナログ量子コンピュータの記憶媒体の構造図や計算式、実用化に向け研究が進むデジタル量子コンピュータの概念図が並ぶ。西野研究室はコンピュータサイエンス領域の量子コンピュータ研究において国内トップレベルの場だ。最先端研究への果敢な挑戦がコンピュータ界の進化を加速します100年の可能性を計算機と歩む。西野哲朗・若月光夫研究室TOP-LEVEL RESEARCH[ トップレベルリサーチ Ⅰ  ]4

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