点から深く「人間」そのものを解明したくなるのです。一方で世に存在しない新しい何かを作り出す研究ですから、行き詰まることもしょっちゅうです。研究室の学生や教員など同じ方向を目指す仲間との語らいが突破口になることが多いですね。秋元 私は研究室に入り先述の対話型図書検索システムを作る研究に携わって初めて、プログラミングを深く学ぶことになりました。先生はもちろん、研究室の先輩方も親切にかなり専門的なことまで教えてくださったので、短い間にコンピュータの深い知識と技術を身につけられたと感じています。理論的な知識が土台にあってこそプログラミングは上手くいくと実感し、この研究室を選んで本当に良かったと思っています。電通大は興味を持ったテーマの研究に主体的に取り組みたい人にとって最適の学び場だと、改めて感じます。西野 勉強ってそういうものだね。必要に迫られれば人は全力で学ぶし、そうした成果は必ず身につくものです。秋元くんを始め、うちに来る学生は各自のこだわりを持って研究テーマを深掘りする一方で、常に独自のアンテナを張って情報を収集している。進歩が早い世界なので、私が想定してなかった新しい知識を学生がゼミの議論でもたらしてくれることも多く、非常に勉強になるのです。秋元 西野先生の深く広い知識には、いつも圧倒されます。打ち合わせにもゼミ発表にもきちんと時間をいただけて、ていねいに研究を見守ってくださるのは、心強くありがたいことです。西野 今後、高校でも「情報Ⅰ」が必修化します。次世代に向けこの研究室からも、情報系の学びの面白さと大切さをさらに発信していきたいですね。人手が足りない医療現場では進化した人工知能の活用が待ち望まれていますし、量子コンピュータが完成すれば今は不可能な高速計算が可能となります。私たちが扱う領域は、100年単位の長い視野を持って研究を着実に積み重ねていくことで、いずれも未来の社会貢献へ直接繋がっていく重要なテーマばかりです。未来のその先を見据えながら実直に努力を続けることこそが、私たちの研究のあり方なのです。秋元優太 さん研究室概要情報理工学域 Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム 4年東京都 私立拓殖大学第一高等学校 出身より優れた新しい対話システムをこの手で作りあげ社会に貢献したい未来のコンピュータ上で動作するソフトウェアを考え、作りあげる研究室。コンピュータの基礎理論であるコンピュータサイエンスの手法を研究し応用することで、人工知能を始めとした多分野の研究・開発に携わる。秋元さんの対話型図書検索システムは、メッセージアプリ上で動作する親しみやすいテキストチャット形式。「Telegram」というシステムで開発しているが、LINEのような他のアプリ上での動作も可能。一度の応答にかかる時間は長くて10秒程度。使いやすくて検索精度も高く、実用に近い段階まで完成している。キーワードコンピュータサイエンス、P・NP問題、人工知能、自然言語処理、ゲーム情報学、多人数不完全情報ゲーム、量子コンピュータ、機械学習、ビッグデータ解析、ソフトウェア工学、脳科学、ニューラルネット5
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