電気通信大学 大学案内 2022
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5 田中研究室では田中教授を筆頭に学生全員がヘビ型ロボットを賢く動かす制御の研究をしている。ヘビは手足のない形状であるにもかかわらず、複雑な運動が可能である。そのためヘビを模したロボットをつくればシンプルな細長い形で、さまざまな動作をするロボットができるのではないか、というのが研究の背景にある。例えば、凹凸の地形を走行する動作や、梯子を登っていく動作、段差を上下したり障害物を避けたりする動作など。先頭でドアを開け、後尾から入る動作は田中研究室で開発された動作である。こういった「多様な賢い動作」と、「より複雑な地形の踏破」を実現しようと日々力を尽くす研究室である。アイディア次第で無限の動作が可能になる一方で、関節が多いため、運動が複雑化し、操作が難解になる。それを制御でコントロールするのが目指すところだ。 ここでの研究は実社会への応用にも直結する。ヘビ型ロボットが、高所、狭所、危険箇所など、人間が立ち入ることのできない場所を走行できるようになると、社会がこれまで抱えていた難題が解消できるようになるだろう。実際に災害時の人命救助を担うヘビ型ロボットや、道路や橋梁など老朽化するインフラを調査・修理するヘビ型ロボットの誕生に産業界から大きな関心と期待を集めている。 目標を達成する運動を数式化し、プログラミングで制御、オリジナルのパーツでロボットを組み立て、コントローラで操作をする。それらを一貫して経験できるのがこの研究室の魅力である。「ものづくり」へ熱い思いを持つ学生が多く、古池さんもその一人だ。 古池さんはロボットに接触する障害物が細長い機体のどの部分に当たっているのか、接触を検出するセンサの付いたロボットの開発に取り組む。田中教授は「古池さんには障害物認識の研究に注力してもらい、私は技術的な部分や研究の仕方をサポートします。一緒に研究を仕上げる仲間として見ていますね」と言う。「先生には毎日進捗を報告して、質問を重ねました。私の研究は先生の圧倒的な知識に支えられています」と言うのは古池さん。教授と学生の関係を例えるならば“共同研究者”だ。学生と教授の共創によって進化を遂げるヘビ型ロボット。その活躍を目にする日は、遠くはないだろう。生物のすごさを抽出し生物以上のロボットをつくるトラブルに強い自律型のロボットを開発して、世の中を驚かせたい教授自身もプログラミングに精を出し、コントローラを握り、学生とともに研究の現場で奮闘する。古池さんは「先生の博識さにいつも圧倒されています」と深い尊敬の念を抱いている── 田中 基康 教授古池 晃樹 さん 情報理工学域 Ⅱ類(融合系) 先端ロボティクスプログラム 4年/千葉県 私立千葉日本大学第一高等学校 出身左ページのヘビ型ロボットはマイコンが16個搭載されている。ロボの中の配線の美しさもこだわりポイント。組み立ては根気のいる作業だ研究対象はヘビ型ロボットの制御と応用。自律型ロボットの設計・開発に挑む。屋内探索・レスキュー用の無線遠隔ヘビロボからマッサージヘビロボ、お掃除ヘビロボなど幅広い展開を視野に入れた研究を行っている。ロボティクス、メカトロニクス、知能機械工学、制御理論、冗長制御、多連結ロボット、ヘビ型ロボット、自律型ロボット、遠隔ロボット、アクチュエータ、角度センサ、距離センサ、コンピュータ、マイコン田中基康研究室Keywords先のことはわからない時代だからこそ、好きなことに取り組もう情報理工学域 Ⅱ類(融合系) 先端ロボティクスプログラム 田中 基康 教授

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