電気通信大学 大学案内 2024
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を作るのかなぜ人は自分の姿に似せてロボットIIII人工の指先を開発することで、人の手指構造の素晴らしさを解明10 /The University of Electro-Communicationsあなたのすぐ側にあるイノベーションTogo Shunta本学を志望する皆さんの中には、人型ロボットを作ってみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。私の研究室では、人型ロボットを作成し手足を人のように動かす実験を通じて、私たちが体を動かすときに骨格や筋肉はどのように動き、どのような働きをしているのかを解明し、「私たちの身体は、なぜこの形をしているのか?」という問いに答える研究をしています。そして、その研究の過程で得た知見や技術をもとに、人と同じように巧みな動きが可能なロボットや義肢を開発することを目指しています。実験の一つに、「人工の指先の開発」があります。人の指先の構造を人工的に変えた指先を作成し、実験の中で人の指先の形状を再現した指先を使って物を持った場合と、形状を変更した指先を使った場合を比較することで、人の指先形状が優れている点を明らかにすることができました。この研究Ⅱ類 先端ロボティクスプログラム 東郷研究室Ⅱ類(融合系)先端ロボティクスプログラムProfile :岐阜県出身。2009年 名古屋大学工学部機械・航空工学科卒業。2011年 名古屋大学大学院工学研究科機械理工学専攻博士前期課程修了。2014年 同 博士後期課程修了。2012〜2016年 日本学術振興会特別研究員。国際電気通信基礎技術研究所認知機構研究所連携研究員、電気通信大学大学院情報理工学研究科助教を経て、2021年より現職。では①人の指先の骨の非対称な形状そのものが円柱を把持する能力を向上させていること。②人の指の爪の働きは、柔らかい指腹の変形を受け止めて幾何拘束を形成する機能があり、物体を指先でつつむように把持することで、小さい物体を安定して掴む能力を向上させていることを明らかにすることができました。最初は、義肢を作るために人に近い指先を作ってみようというところから始まった実験でしたが、実験を担当していた学生が、人の指先の骨の形に着目し、指先の構造を変えた指先を作成して比較実験を行ったところ、人の指の骨がものを掴むために優れた形状を持っていることが解明されました。そして、「なぜわざわざ人型のロボットを作るのか」という疑問の答えを得ることができたと思っています。II東郷 俊太 准教授

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