電気通信大学 大学案内 2024
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30 /The University of Electro-Communications30 /The University of Electro-Communications清水:水野:能性も生まれています。それを活用して様々な身体の状況を把握できれば、人々の健康的な生活に役立つのではないかと考えています。研究室に所属して感じているのは研究活動が本当に楽しいということです。正直、自分がこんなに研究好きになるとは思っていなかったです。「人の生体情報を測定することで、人の感情や心理を推定する」という研究内容が、そもそもわかりやすくて気に入っています。誰かに「こういう研究をしています」と話すときにもわかってもらいやすい(笑)。高校までの勉強と異なり、自分でゴールを決め、それを目指すための道も自分で決めることができます。このような学問の進め方が私の性格に合っていたようです。研究を通じて、「興味のあることにどんどん取り組み、疑問を自分の力で理解していく」という経験ができたことはとても貴重なことでした。研究活動というのは一定のペースで進んでいくのではなく、アイデア一つで急に進むこともあれば、いくら頑張っても進まない時もあります。進まないときにずっと研究室にいると、モチベーションが失われてしまうケースがあるんですね。ですから、私の研究室では、コアタイムなど水野 統太准教授経営・社会情報学プログラムは決めておらず、学生が自分の研究のペースに合わせて自由に実験などに取り組めるようにしています。また、メンバー間のコミュニケーションの中に研究に資するヒントがたくさんあると考えているので、ゼミ活動など、話し合う時間は大事にしています。博士前期課程の2年間だけでは、今取り組んでいる研究を納得できるところまで完成することできないと考えて、博士後期課程に進むことにしました。そして、研究の成果を医療関係などの分野で活用してもらい、社会に還元できればと考えています。清水:清水:中学、高校時代に、悩みを誰かに相談することが何度かありました。その時、自分が考えていることや心理状態を言葉だけで100%他人に伝えることは難しいのでは?」という疑問を持ちました。電通大に進学して水野研究室の研究テーマ、内容を知り、その疑問の答えが見つかるのではないかと思い、この研究室を選びました。私の研究テーマは、「生体情報を用いたヒューマンコンピュータインタラクションの研究」というものです。取り組むきっかけになったのは、「人が本を読んでいるときの感動を測定できたら…」という思い水野:清水 美玖さん経営・社会情報学プログラム 博士前期 2年でした。測定に使うのは、非接触で皮膚の表面温度を測定することができるサーモグラフィです。人はリラックスすると自律神経の働きで体表面の毛細血管の血流が変化し、皮膚の温度が変化します。これをサーモグラフィで測定することで、その人の心理状態が快状態(リラックスしている)か、不快(リラックスしていない)かを把握しようという試みです。ストレスがかかった状態になっている人の顔をサーモグラフィで測定すると、鼻の部分の温度が下がるんです。その時に、どんなものを見ているかによる変化も、結構明確に観察できるので、「この本を読むと、この人は“面白い”と感じている」ということをデータとして把握することができます。最近では、人の気持ちを検知するセンサとしてスマートフォンやPCに内蔵されたカメラを用いる技術にも取り組んでいて、病院で医師のもとで行うような「検査」なしに人の本当の気持ちが測定できる可清水:水野:Professor×StudentDialogスマートフォンやパソコンを通じて生体情報を測定することで、人が今、どんな感情を持っているかを知る

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