電気通信大学 大学案内 2024
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42 /The University of Electro-Communications42 /The University of Electro-Communicationsタインがその理論を確立してから100年以上が経過し、量子物理学に疑問をさしはさむ人はいないでしょう。その理論によって作られた量子コンピュータを使って、量子物理学に必要な計算を行うことが、これからの量子物理学研究の姿ではないかと考えています。現在の研究は、量子物理学の計算を、通常のコンピュータで計算しています。量子物理学の最先端の研究に取り組むには、それにふさわしい道具が必要だということです。量子コンピュータには、これまでのコンピュータを超える能力が期待されていますが、もっと大きな、幅の広い可能性を持った道具だということでしょう。笠原君のような若者たちには、量子コンピュータのような優れた能力を持った道具を使って、新たな分野の研究に取り組んでほしいですね。彼らがのびのびと自由に研究に取り組んでもらえるよう、最初のテーマ設定をアドバイスしたら、その後細かい指導はしません。取り組み方など、すべて学生自身に考えてもらいます。経過は確認しますが、学生から、その内容を教えてもらうというスタンスです。失敗するのもOK。自分で考えて笠原:曽我部:曽我部:曽我部 東馬准教授電子工学プログラム私の研究室では、AI(人工知能)とエネルギー分野、量子コンピューティング分野等を組み合わせた新領域を開拓し、様々な社会課題の解決策を生み出すための研究に取り組んでいます。グローバル化やIT化の進展により、エネルギーや交通、物流などの分野が抱える課題は、従来の物理学だけでは解決が困難になっています。そこで、AIを活用した予測や最適化により、その解決を目指そうという考え方です。行ったことであれば、どんな経験も自信につながると考えているからです。研究成果を発表する際も、大きな、自信のある声で行う、という指導はしていますね。もう一つ、自信につながるのは、まだ誰も取り組んでいない研究に取り組むこと。最先端のトップランナーとして自分だけのテーマに取り組めば、たとえその実験結果がまだ不完全であっても、その新規性が人を大きく魅了するのです。自分で手掛けたことは、どんな結果であっても確実に自信につながります。自信をもって、誰も取り組んでいないことにチャレンジしてほしいと思います。笠原 伸容さん電子工学プログラム 博士前期 1年AIに興味を持ったのは高校時代です。ちょうどAIという存在がブームになり始めた頃でした。それ以前からアニメが大好きで、その中に数多くのAIが登場していて、その時点ではSF的な存在だったのですが、それがすごく魅力的に感じて、大学ではAIについて学びたいと考えるようになりました。入学して様々なことを学ぶ中で出会ったのが「量子コンピュータ」でした。曽我部研究室では「量子コンピュータにAIを組み合わせる」という、まさに僕が好きだった世界を実現する研究を行っていることを知り、参加することを決めました。量子コンピュータは、まだ何かを解決できるというところまでは至っていませんが、これからの物理学を研究するには絶対に必要な道具だと言えます。その一番の理由はその理論です。量子コンピュータは、量子物理学の理論に基づいて作られています。アインシュ笠原:曽我部:Professor×StudentDialog誰も取り組んでいないテーマにチャレンジして、新たな物理学を切り拓いてくれることを期待します

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