新潟県立大学 2024 GUIDE BOOK
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わたしのお気に入りTakahashi Yasuyuk,i人間生活学部 子ども学科高橋 靖幸 准教授◆「教育」と「社会」の関係を考える 私は、授業の中で、教育という営みを「個人」にスポットライトを当てて考えるのではなく、「社会」という単位で捉えたときにどのようなことが見えてくるのかという視点を大切にしています。教育の目的は、個人のより良い人間形成を為すことにあると言えますが、同時に、若い世代へ文化を伝達し社会を継続させ発展させていくことにもあるのです。後者の教育と社会の関係は、普段の生活の中では見えづらい部分かもしれません。だからこそ、社会という単位で捉えたときに重要となる教育の役割やその意義について学術的に考える授業を展開するようにしています。My Favorite Itemジャズのアナログレコードサブスク音楽配信サービスは、たいへん便利で日常的に使用しています。しかし、家でしっかり落ち着いて音楽を聴きたいときは、ターンテーブルでアナログレコードを聴いています。◆ある本との出会い フランスの歴史学者フィリップ・アリエスの著書『〈子供〉の誕生-アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』(みすず書房)との出会いが、子ども研究の世界に足を踏み入れるきっかけとなりました。アリエスは、この本の中で「中世の社会では、子供期という観念は存在していなかった」と述べています。私は、大学生のとき、この言葉に初めて触れ衝撃を受けました。「子どもは純真無垢で可愛らしい存在」という自分の中の常識が大きく揺さぶられたのです。その後、卒業論文を執筆する際にもこのアリエスの著書を深く読み、それから現在に至るまで、日本の子どもの歴史について研究を続けています。◆学生時代の有益な「勘違い」 学生時代は、とにかく多くの音楽や映画、小説に触れ、それらについて友人たちと話をするのが楽しみでした。当時は、そうした「文化的な事柄に深く精通した人=素敵な大人」というイメージがあったので、身の丈に合わない難解なものも背伸びをして手に取り、何かをわかったような気分に浸って悦に入ったりしていました。今考えると青臭く恥ずかしい限りですが、学生時代のこれらの経験が現在の教育や研究活動に活かされることも多く、若い頃の「勘違い」も無駄ではなかったと思っています。[専門分野] 教育社会学/子ども社会学[担当科目] 教育学概論/幼児教育学/教育方法・技術/保育方法・技術/教育制度等37過去と現在そして未来の教育現象を考える教員紹介

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