新潟県立大学 大学案内 2025
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65エピガロカテキンガレート(緑茶に含まれる主要なカテキン)ポリフェノールとは、ベンゼン環に水酸基を2つ以上有するフェノール化合物の総称です。その化学構造の違いにより生理活性が大きく異なります。これまで、食品中の健康と維持増進に関わる成分、ポリフェノール類に関する研究、地域特産野菜の特性評価や食品・食品素材の特性と有効利用に関する研究、食品学的な観点からの食の地域性に関する研究に関心を寄せて行っています。ポリフェノールとは、植物において光合成によって生成される色素や苦渋味成分を指します。化学構造の違いによってさまざまな種類があり、身近な食品の緑茶や紅茶に含まれる渋みの主成分であるタンニン、果実のブルーベリーや果菜のナスに多く含まれる天然色素、アントシアニンもその一種です。植物性食品である野菜や果物などの食材およびそれらを加工品として利用する場合、ポリフェノールは食品(食べ物)のおいしさ、品質に影響を及ぼすことがあるので、注意を必要とする成分(物質)といえます。また、近年では機能性成分としても注目され、その利用は広範となってきました。効果をもたらす理由として強い抗酸化作用を有することがあげられます。活性酸素などの有害な物質を無害な物質へ変える働きがあると考えられています。ポリフェノールは8000種以上といわれており、さらなる解明が待たれる化合物群です。現在、新潟・山形地方で秋冷の頃に多く食される菊の花びら、食用菊の特性に注目して取り組んでいます。菊は薬効を有する植物として8世紀あるいはそれ以前に中国から伝わったと知られています。そのうち食用の菊は全国で60品種ほど確認されています。分類学的には観賞用と同じ菊に分類されるもので、食用との区別は苦味が少なく食べてみたらおいしかったからという事象に由来するといわれています。近年、地域伝統食品においても客観的品質評価が強く望まれるようになり、伝統野菜でもある食用菊の特性についても詳細に分析し、その内容を明らかにすることが求められるようになってきました。食用菊に含まれる成分の機能性およびその利用について評価・検討・報告を進めています。専門分野:・社会学およびその関連分野/家政学および生活科学関連・農芸化学およびその関連分野/食品科学関連・健康科学およびその関連分野/栄養学および健康科学関連担当科目:・健康栄養学科展開科目-専門基礎分野-食べ物と健康「食生活学」・健康栄養学科展開科目-専門基礎分野-食べ物と健康「食品学総論」・健康栄養学科展開科目-専門基礎分野-食べ物と健康「食品学特論」・健康栄養学科展開科目-専門基礎分野-食べ物と健康「食品学実験」・健康栄養学科展開科目-専門基礎分野-食べ物と健康「食品学実習」・健康栄養学科卒業研究「卒業研究[立山]」略歴:1997年 新潟大学大学院自然科学研究科生命システム科学専攻博士課程修了博士(学術)   2016年 新潟県立大学人間生活学部 教授(現在に至る)人間生活学部健康栄養学科教授研究紹介植物に含まれるポリフェノールの力、その可能性を求めて立山 千草

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