宇都宮大学広報誌 UUnow 第44号
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●今までの大学院は研究に重きを置いていたのに対し、教職大学院の特徴は、研究と実践とを同じ重さで扱っています。研究したことを実践し、実践で分かったことや疑問に対してまた研究する。これら研究の営みと実践の営みとを往還させていくのが教職大学院です。宇大の特徴は現場の先生(現職院生)も実習免除をせず、学卒で上がってきた若い院生と一緒に学んでいくことです。それにより中堅の先生は若手をどう育てるかを学び、学卒の院生はこれから先生になるためのノウハウを学べます。もう一つの特徴は実習のやり方です。他大学の教職大学院に比べ実習の時間を長期間とり、半年から8ヶ月くらいかけて長期実習をし、自らの疑問について深く考えていく仕組みをつくりました。電子ポートフォリオシステムを使い自分の学んだことや疑問についての省察を書き込むのですが、電子システムなので即座に全員がそれを見ることができます。その日のうちに仲間や教員がその記録を見てアドバイスができる。それと同時に毎週「リフレクション」の授業を行い、電子ポートフォリオだけではうまく伝えられない微妙なことを、顔を合わせてグループで話し合います。この2つを組み合わせているのは全国でも珍しい試みです。これらを通して考えながら実習し、実習しながら考えます。教育理論というのは、現場にそのまま適用することは難しく、実際にはそのとおりにならないことが多くありますが、教職大学院ではそのような場合にどうすれば良いかを考える、実践的な思考を深めることができると思います。教職大学院は、専門職大学院の一つで、高度で専門的な知識・能力を備えた高度専門職業人としての教員養成を目指した大学院です。現職院生については、確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えたスクールリーダーの養成を、そして学卒院生については、より実践的な指導力を備え、学校づくりの有力な一員となり得る新人教員の養成を目的にしています。理論と実践を往還する探究的な省察力を育成する授業で、現場に密着した多様な学びを展開しています。● 授業概要教職大学院2年生 大森 一久(所属校:鹿沼市立北犬飼中学校)教職大学院1年生 高橋 真実(宇都宮大学教育学部卒)●学生から※現職院生21名、学卒院生13名、計34名の院生が学んでいます。(平成29年度現在)●大学4年間の学びだけでは自信を持って子どもたちの前に立つことが難しいと実感し、大学院への進学を決めました。教職大学院では多くの現職の先生方と一緒に学べるということが、とても大きな励みになっています。学卒院生は現場に入る前に、教育についての課題を捉え、考えを深めることができます。知識を得るだけでなく自分の考えを持つこと、そしてそれを子どもたちの教育に活かせるようになることが大学院での学びの目標です。工学研究科 機械知能工学基盤教育「体験! ぷろじぇくと」基盤教育「体験! ぷろじぇくと」 Academic English ReadinAcademic English Readin国際学部国際学部 学術英語講読学術英語講読教育学部初等理科教育法教育学部初等理科教育法農学部 応用生命化学科 生物化学工学部 電気電電気磁気学工学部 電気電電気磁気学理論と実践を往還する授業地域デザイン科学部ソーシャルスキル演習(教育実践高度化専攻)(教育実践高度化専攻)(教育実践高度化専攻)教職大学院教職大学院教職大学院■今回ご紹介した授業の様子が動画でもご覧いただけます。 宇 都 宮 大 学 宇 都 宮 大 学松本敏教授教育学部 地域居住論工学研究科 機械知能工学基盤教育「体験! ぷろじぇくと」基盤教育「体験! ぷろじぇくと」 Academic English ReadingAcademic English Reading国際学部国際学部 学術英語講読学術英語講読教育学部初等理科教育法教育学部初等理科教育法農学部 応用生命化学科 生物化学 Ⅰ工学部 電気電子工学電気磁気学A工学部 電気電子工学電気磁気学A理論と実践を往還する授業理論理論とと実践実践をを往還往還するする授業授業地域デザイン科学部ソーシャルスキル演習(教育実践高度化専攻)教職大学院● 教員から※14名の専任教員と6名の兼担教員がいます。(平成29年度現在)共通科目(10科目)+分野別選択科目(約20科目)リフレクション(毎週金曜5〜8時限)※全体で、チームで実習科目(300時間以上)※連携協力実習校で、附属小中で演習等中心に大学で学ぶ授業と実践研究とをつなぐ学校現場で学ぶ⇨※演習中心の授業を展開しています。専門分野:教育学、社会科教育授業科目:大学院/授業研究の運営と課題、社会科授業デザイン論、授業における個のとらえ方と対応●私は16年間現場にいました。教職大学院では異校種や他地区の先生方や学卒院生と共に教育の新しい理論や歴史的背景を学ぶことで、より視野が広がっていると感じています。教職大学院は実践もしながら理論も学べるというころに良さがあると思います。教授陣の理論と、現職の先生方や仲間との経験を間近に学んでいけます。社会の変化に対応できる子どもたちを育てるためには自身も学び続ける必要があります。大学院では期待以上の学びを得ることができています。⇨⇨⇨UUnow第44号 2017.11.20●10

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