宇都宮大学広報誌 UUnow 第48号
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に関する法律の制定や改正、国際大会などでスポーツを利用した外交(国家間調整)の展開など、実にさまざまです。スポーツは世界の縮図あるいは小宇宙なのです。宇大赴任後は、イギリスやオーストラリアなどでの滞在で研究対象も広がり、2003年「スポーツ行政をめぐる政策ネットワークの研究」で博士号を得ました(2006年に『スポーツの行政学』として刊行)。■東日本大震災と2020年東京五輪8年前の東日本大震災では、そ13●UUnow第48号 2019.4.20私私私私私私今を、今の今を頑張る中村 祐司 教授早稲田大学社会科学部に入学しましたが、1年生の時は「世界をまたにかけたビジネスマンになる」なんて思っていました。ビジネス英語の研究会に入ってアメリカ歴代大統領の演説を真似るスピーチコンテストに出場したりしていました。社会科学部では、政治、経済、商業、法律、地方自治など、社会科学系の学問を広範囲にわたって学ぶことができました。宇大の「地域デザイン科学部」のように、学部生のときに幅広く学べるという経験は大変よかったと思います。だからこそ今があると思っています。   私のゼミ指導教授の寄本勝美先生(元早稲田大学政治経済学部教授・故人)は、地方自治、行政の研究者でした。徹底して現場にこだわって、ごみ問題を研究しておられました。当時は、ごみに関しては実は社会科学の研究の対象ではなかったのです。「ごみを捨てて儲かればいいじゃないか」という雰囲気がありました。やがて「公害」が顕在化してくるわけですが、先生はその当時から、「ごみ、清掃問題というのは大切だ」と目をつけて研究を続けていました。新たな分野を開拓して学問を確立してきた恩師を目の当たりにして、私は高校まで野球部だったこととスポーツ好きだったことから、スポーツを学問としようと思いました。当時、地方自治や行政の分野でスポーツを取り上げることはほとんどなかったのですが、恩師との出会いで大きな目標が与えられたのです。どうにか博士課程の試験に合格をして研究室に入ってから、スポーツにも国際関係やオリンピックなどを巡っての政治、行政、経済、コミュニティの問題、スポーツと健康や高齢者との関係など、いろいろな世界があり、とてつもなくおもしろいことに気づいてきたのです。スポーツがもたらす社会科学の様々なことを大いに研究したいと思いました。最初は意気込みだけでスポーツ行政の論文を1行も書けなかった私ですが、今日までスポーツに関わる著書を数冊出版するに至りました。ですから学生さんたちには、「トライすることによって必ずどんなテーマでも見えてくる、頑張れば必ずどんなところから入っても道は拓ける」ということを言いたいです。とにかく今を、今の今を頑張ってやり遂げること、そして前を向いて学び続けてほしいと願っています。(「私の学生時代」取材・文/アートセンターサカモト・栃木文化社ビオス編集室)れまで、行政のみならず日々の営みというのは当たり前のように成立すると考えていた私は、研究の土台そのものが壊れてしまったような衝撃を受けました。悩んだ末、自分は活字(論文や書籍)を通して表現していくしかないとの思いに達しました。近年の『スポーツと震災復興』『危機と地方自治』『2020年東京オリンピックの研究―メガ・スポーツイベントの虚と実―』の刊行は、震災の経験が原動力となっています。とくに2020年東京五輪を巡っては、市場、開発、環境、財源を巡る問題、国と地方、復興五輪、ボランティアのあり方など実に多くの論点があります。キャンパスなどですれ違った時でも結構です。ぜひ一言皆さんの意見をいただきたいです。新国立競技場(2018.5.26)選手村(2018.5.26)有明アリーナ(2018.5.26)有明体操競技場(2018.5.26)100キロを歩く大学のイベント「100キロハイク」に参加。1年生のとき友人と(右から2人目)※写真撮影は中村教授

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