宇都宮大学広報誌 UUnow 第49号
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域から支持されないような大学は生き残れない、研究も地域に目を向けた基礎研究であり、それが地域にも貢献できる応用研究につながっていくということを深く感じました。田原先生が標榜された「地域に学び、地域に返す、大学と地域の支え合い」が法人化によって強く意識されるようになったのではと思っています。その思いは菅野先生の代になってキヤノン様などからのご支援や周辺住民の方々を意識して開設されたコンビニエンスストアなどで形になっていき、さらに進村先生が目指した産学連携における地域とのつながりもその流れの中で出てきました。特に進村先生の時代には理事として傍らで仕事をさせていただき多くのチャレンジングな施策を進めることができました。進村民間企業との協力は非常に重要だと産学連携が築かれてきましたが、学内の連携、特に「農工連携」が弱い、また、自治体等も含めた地域社会とのつながりが弱いことを感じ、その解決を理事の皆さんにお願いしました。こうした流れの中で、そこで単なる産学ではなく産業界と自治体あるいは住民という形で、本当の意味での包括的な地域社会と結びついていくように大学の意識も変わっていったと思います。石田そうですね、こうした法人化以降の三学長の地域社会に寄り添う姿勢が、結果として、第三期における地域デザイン科学部の創設や大学院地域創生科学研究科への大改革、あるいはロボティクス・工農技術研究所の設置などにつながったのだろうと再確認し、宇都宮大学の大きな流れを感じています。大森学内では共同研究に向けて教員同士が声をかけたり、かけられたり、という連携や協働の雰囲気が強くなってきたと感じています。田原研究はオール宇都宮大学でやらないと、バラバラにやっていては伸びないという思いがありました。その方向に先生方の意識がだんだん変わっていきましたね。それから地域から徹底的に学ぶ、地域の知識等いろいろなものを引き出すことが地域との連携であって、それが地域への貢献にもつながるのではないかと考えます。◇◇◇■宇大の魅力を学内外に伝えていくことが大切大森今、宇都宮大学はいろいろな改革を進めていますが、先生方にはどのように映っていますか。田原外から見ると頑張っていると思いますし、方向性は間違っていないと思います。ただ、それが先生方や学生たちに伝わり切っていないと思います。菅野頑張っていることが、必ずしも十分には学外に見えていないのではないかな。大事なのは学内の構成員の頑張り様が学外に発信され、それが認められるということだと思います。石田本当に皆さん頑張ってくれていますが、どうすれば外部に対しうまく伝わるのか、いつも思い悩んでいます。英国の評価機関が公表したSDGsの取り組み評価で宇大は国内では京大、東大、慶応に次いで4位という高い評価を受けています。また日本経済新聞社が実施した有力企業の人事担当者へのアンケート調査「人事が見る大学イメージ」で宇大は全国の大学で6位、東京を含め関東甲信越では1位です。誇れることなのですが、そこをうまく伝えきれていない。教員も職員も自慢することを恥ずかしがる地域の特徴があるかもしれません。謙虚なんですよね。それはいいところでもありますが。大森進村先生はいかがでしょうか。進村私の代で実現できなかったことを着実に実現してもらっているなと思います。遠い海外からはどう見ているのだろうかと、アメリカ・フロリダ大学の教員で、世界的な学会の会長に去年就任した宇大博士課程修了生の方に「今の宇都宮大学はどUUnow第49号 2019.11.20●8DVDラボ(さまざまなジャンルの英語のDVDが自由に視聴できる)地域デザイン科学部新校舎完成(平成29年9月)進村武男/工学部教授、サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー長、工学部長・工学研究科長等を経て、学長就任

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