宇都宮大学広報誌 UUnow 第51号
6/14

べさせる餌から飼養管理や搾乳方法など生産される生乳の安全を保証するための様々な対応が求められます。認証を受けるため私たち農場スタッフが取り組んだことは、普段、感覚的に「こうだろう」と経験則で行われていた作業、トラブルが発生した時の対処の仕方などを文書で明確に「見える化」することでした。そのことによって、担当者の安心感が大きく向上しました。乳牛分野のJGAP認証は栃木県では初めて、大学でも初めてとなります。附属農場の取り組みが「食・生命・環境」を考える生きた素材に宇大の生乳を使った製品は「純牧」のほか、地域のチーズ工房や洋菓子店と連携しながらチーズ、バター、洋菓子などの開発へと拡がっていきました。農場の生産物が製品として世の中に流通し、目に見えるかたちになることは、学生への様々な教育効果をもたらしています。まず、実習に対する緊張感がぜんぜん違ってきます。いつ誰が搾った生乳か正確に管理され、搾乳後、牛に病気等の異変があれば直ぐに乳質を示す数値に表れます。動物を大事にするということはどういうことなのか、そのことによる恩恵はどういうところにUUnow第51号 2020.11.20●62222農学部附属農場農学部附属農場オリジナル製品オリジナル製品ののブランド化ブランド化農学部附属農場オリジナル製品のブランド化2222全国一の広大なフィールドを有する本学農学部附属農場では教育研究成果を積極的に取り入れた農場ブランド品を開発しています。大学が推進するSDGsへの貢献の一環として人にも動植物にも環境にもやさしい農畜産業の実現を目指して様々な取り組みを進め、その成果として大学オリジナル品種「ゆうだい21」を栽培する水稲分野が、持続的な農業生産と食の安全を推進する「GAP(Good Agricultural Practice)制度」の国際版「ASIAGAP」に、乳牛および肉牛分野が日本版の「JGAP」にそれぞれ認証されています。今年7月には本学オリジナル牛乳「純牧」が日本初の「JGAP農畜産物使用ロゴマーク付き牛乳」として発売されました。今後、農場オリジナル製品統一のロゴマークを新たに制作し「宇大ブランド」を広くPRしていく計画です。畜産分野の責任者として乳製品の開発に携わってきた長尾慶和教授(附属農場長)に聞きました。「JGAP農畜産物使用ロゴマーク」つき牛乳「純牧」を持つ長尾慶和教授(附属農場長)。附属農場にて乳牛分野で大学初のJGAP認証  附属農場は搾乳牛では極めて珍しい放牧にこだわって飼養管理を行ってきました。牛の健康を重視した生乳生産に取り組んだ結果、生乳の品質は飛躍的に向上しました。全国トップクラスの評価を受ける良質な生乳を生産できるようになったことが宇大オリジナルの乳製品開発につながりました。2015年、両毛酪農業協同組合(足利市)と連携して「純牧」の生産・販売が実現しました。今年3月に附属農場の乳牛飼養管理と生乳生産工程がJGAP認証されたことで「純牧」は日本で初めて「JGAP農畜産物使用ロゴマーク」が貼付されて流通する牛乳となりました。GAPは人や動植物や、環境にやさしくかつ生産過程が明確な農業生産活動を認証する制度です。牛に食あるのか、身をもって知ることになります。      GAPに関して言えば、SDGsの潮流と歩調を合わせて農業分野のSDGsを実現する一つのステップとして世界各地で整備されつつあります。人・動植物・環境にやさしい附属農場の取り組みは学生がGAPやSDGsを考える生きた素材になり、「食」「生命」「環境」について質の高い教育を提供することができます。その延長線上に安全・安心な農場オリジナル生産品を社会の人たちに届けるということがあり、それがまたフィードバックされて私たち農場に携わる者の励み、士気につながっています。こうした取り組みを継続し地域の方々との共同開発や販路の拡大などの連携をさらに進め、教育と研究の輪を広げていきたいと考えています。農作物の新たなブランド戦略現在、乳製品「純牧」シリーズに続く新たなブランドとして、水稲分野および園芸分野の農作物のロゴマークを「うぶ」として統一することを計画しています。ゆうだい21やうどんのパッケージの他、贈答用詰め合わせパッケージも作製し、年末には手土産等にご活用いただける予定です。野菜や果物のパックシールも統一し、宇都宮大学の農作物=「うぶ」というイメージを一日も早く浸透させたいと考えています。皆様のご支援をどうぞよろしくお願いします。

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る