宇都宮大学 研究シーズ集 2021.09
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ライフサイエンス、その他(植物保護)・重要害虫の殺虫剤抵抗性管理に関する研究・カブリダニを用いたハダニ管理技術の開発害虫管理、薬剤抵抗性、天敵日本応用動物昆虫学会、日本農薬学会、アメリカ昆虫学会農学部教授園田昌司生物資源科学科応用昆虫学研究室URL: http://shigen.mine.utsunomiya-u.ac.jp/oukon/m/Mail:sonodas[at]cc.utsunomiya-u.ac.jpそのだしょうじ2018年5月更新研究概要(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)社会貢献等今後の展望(特徴と強み等)教育・研究活動の紹介現在の害虫管理は総合的害虫管理の理念に基づいて行われています。総合的害虫管理とは、あらゆる防除手段を相互に矛盾なく使用し、害虫密度を経済的に許容できる水準以下に抑え続けるための害虫管理システムのことを言います。化学的防除と生物的防除は総合的害虫管理の基幹となる防除手段です。ところが、前者では殺虫剤が効かなくなる、いわゆる殺虫剤抵抗性が農業生産の現場で大きな問題となっています。後者では、特定外来生物の問題、生物多様性条約の批准に向けた流れの中で、土着および導入天敵の潜在的な害虫密度抑制能力を最大限に発揮させるための、圃場管理システムの構築が重要な課題となっています。これらの問題を解決するために、殺虫剤抵抗性管理技術の開発、下草管理(天敵温存植物の利用)等による天敵機能の強化を目指しています。分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項コナガやアザミウマといった重要害虫の殺虫剤抵抗性に関わる分子メカニズムの研究を長年にわたって実施してきました。各種殺虫剤の抵抗性遺伝子について個体レベル、個体群レベルで解析することが可能です。最近は、形態的な特徴に基づく分類が困難である、ハダニ(害虫)の天敵カブリダニの種構成を、分子生物学的な手法を用いて推定する手法を開発しました。この手法を用いて、防除圧(薬剤使用の程度)の異なるモモ圃場間ではカブリダニの優占種が異なっていることを明らかにしました。この手法は、モモ以外の果樹、野菜に生息するカブリダニにおいても利用可能です。化学的防除と生物的防除は共存できないと考えられていた時期もありましたが、標的となる害虫のみに殺虫効果があり、天敵類には影響の少ない選択性殺虫剤の開発が進み、現在では両者を互いに矛盾しない形で害虫管理に使用することが可能になりつつあります。その中で、真の意味での総合的害虫管理を目指したいと思います。TEL:028-649-5451FAX:028-649-5451図1ハダニ(害虫)を捕食するカブリダニ(天敵)119

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