宇都宮大学 研究シーズ集 2021.09
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ライフサイエンス・哺乳動物における初期胚発生および着床と妊娠の成立の分子機構・体外受精胚における発生と着床能力の改善初期胚発生、着床、受胎、妊娠、体外受精、体外培養、胚移植日本畜産学会、日本繁殖生物学会、日本卵子学会、日本受精着床学会、日本生殖医学会、日本生殖再生医学会、日本獣医学会、SocietyfortheStudyofReproduction農学部教授松本浩道生物資源科学科動物育種繁殖学研究室URL: http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/about/08-01-16.htmlMail: matsu[at]cc.utsunomiya-u.ac.jpまつもとひろみち2017年5月更新研究概要(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)社会貢献等今後の展望(特徴と強み等)教育・研究活動の紹介哺乳動物の発生と生殖の仕組みを明らかにするとともに、体外受精などの培養系を用いた発生工学手法を開発し、産業への貢献を目標としています。具体的には、卵子の減数分裂再開から受精、初期胚発生、着床と妊娠の成立の分子機構解明などを行っています。受精にしても着床にしても、異なる細胞や組織が限られた時間だけその能力を獲得および許容し、その時期に出会えたもののみが個体へと発生していくことが可能になるのです。この雌雄、親子の相互関係の仕組みと不思議の謎解きに取り組んでいます。胚(受精卵)が着床する過程は子宮との相互作用であり、その分子機構は複雑です。しかも体外で着床を解析する実験系は確立しておらず、その全貌は明らかになっていません。これまで、胚側および子宮側の双方から着床の成立に関わる因子を研究してきました。細胞外マトリックスであるTinagl1が胚と子宮の双方で作用することを明らかにしています(図1)。分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項胚(受精卵)は体外で培養することが可能です。そこで胚において着床に関連する分子機構を解析し、体外培養系で着床関連因子の発現と局在変化を誘導する手法の開発に取り組んでいます。また、母体の子宮に胚移植をすることで着床能力がどの様に変化しているかを検証しています。これらのアプローチを用い、これまで着床能力を獲得したと思われていた状態が、実際には着床能力を誘起された状態であり、その後にエストロゲン受容体が分解されないと着床を完遂することが出来ないことを明らかにしています。体外培養と胚移植により着床に関わる分子機構を解析する実験技術を有しています。体外受精や胚移植の技術は、優良家畜などの増産や、ノックアウトマウス等のライフサイエンス分野に加え、生殖補助医療などにも多大な貢献をしています。しかしながら、体外受精卵の着床(妊娠成立)率は低いのが現状です。当研究室の成果を市販培養液として普及することが出来れば、多くの産業関連方面に貢献できると考えていますが、製品化する際の物質安定性等の保証や管理の検討は不十分ですので、多くのご意見をいただけますと幸いです。技術移転希望項目・培養液・タンパク質の局在解析TEL:028-649-5432FAX:028-649-5431図1.着床前のマウス胚盤胞におけるTinagl1の発現と局在.免疫蛍光染色法により、Tinagl1(緑)と核(青)を検出しています。左は着床能力をもたない胚、右は着床能力誘起胚です。Tinagl1が着床能力誘起胚の栄養外胚葉(TE)特異的に発現していることが分かります。一方で、胎子に分化する内部細胞塊(ICM)での発現は見られません。126

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