宇都宮大学 研究シーズ集 2021.09
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ライフサイエンス、環境・微生物間コミュニケーション機構の解析と応用・微生物によるバイオフィルム形成機構の解析と防除技術の開発・細菌の単離・細菌の培養・細菌叢解析・バイオフィルム解析・細菌の遺伝子解析・細菌の遺伝子組み換え・その他細菌解析・日本生物工学会(代議員)、日本農芸化学会、日本微生物生態学会・基本的な細菌解析用の設備一式工学部准教授諸星知広基盤工学科物質環境化学コース生物工学研究室URL: http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/lab/bio/Mail: morohosi[at]cc.utsunomiya-u.ac.jpもろほしともひろ2017年4月更新研究概要(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)社会貢献等今後の展望(特徴と強み等)教育・研究活動の紹介最も単純な生物である細菌も、人間と同じように仲間とコミュニケーションを取っています。その一つにQuorumSensing(QS)と呼ばれる機構があります。QSでは、細菌はオートインデューサーと呼ばれる物質をシグナルとして周囲の仲間の個体密度を認識し、高菌体密度になったことを感知すると、特定の機能を活性化させます(図1)。これらの機能の中には、病原性発現やバイオフィルムの形成など、人間にとって好ましくないものが多々存在します。本研究室では、様々なQS抑制技術に基づいた、微生物制御技術の開発を行っています。分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項研究のベースはQSに関わる細菌の遺伝子レベルでの機能解析になりますが、特に、オートインデューサーの一種であるアシル化ホモセリンラクトン(AHL)を分解する細菌や遺伝子の研究に関しては、世界でもトップレベルであると自負しています。細菌が生産するAHLを人為的に分解すれば、QSに制御される病原性発現やバイオフィルム形成を抑制することが可能で、様々な分野に応用可能です(図2)。QS阻害技術は耐性菌の発生リスクが低く、抗生物質などの従来の抗菌薬に替わる新しい微生物制御技術として世界中で注目されている分野です。また、本研究室ではQS以外にも、環境中に生息する細菌の単離や菌叢解析について、幅広い研究者や企業と連携して研究活動を行っています。QSの抑制技術は、病原性細菌における病原性発現の抑制や、水処理膜の目詰まりの原因となるバイオフィルム形成の防止など、医療、農業、産業の広い分野での応用が期待されており、本研究室で蓄積したノウハウを活かしつつ、実用化へ向けて積極的に取り組みたいと考えています。また、QSに関わらず、細菌が関係する技術相談についても広く受け付けております。技術移転希望項目・水処理技術・微生物農薬・バイオフィルム防止技術特許出願状況・特許第4905724号(シクロデキストリン誘導体)他TEL:028-689-6176FAX:028-689-6176:オートインデューサー周りに誰もいない…おとなしくしていよう低菌体密度よし!仲間が集まった!一斉攻撃開始!!高菌体密度植物病原菌によるジャガイモの腐敗AHL分解により病原性が消失72

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