宇都宮大学広報誌 UUnow 第53号
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この授業では、フランス語で書かれた様々な文学作品を論理的に読み、論点をまとめ、議論する方法を学びます。これらの作品が時代を超えて人々を惹きつける理由は何なのか、何が共感を呼び起こしているのかを冷静に見つめることで、現代の社会の中でも、人々の心を動かす手法はどのように活用されているのか考えてもらいます。● 授業概要UUnow第53号 2021.10.20●10●フランス語の文学作品を和訳していく授業なのですが、和訳して終わりではなく、その文学のバックグラウンドについて先生が説明してくださり、それを受けて学生それぞれが意見を述べ合うという少人数制の授業です。様々な意見、考えを聞くことで自分だけでは気づかなかったことを知ることができるし、自ら考える力も身につけることができます。フランスの古典文学には現代の日常生活にもつながるような要素があるので、そういう気づきを大事にしたいと思います。●この授業は今まで受けたどの授業よりも意見交換の時間が多く、いろいろな人の考え方を聞けてすごく刺激になりますし、毎回新しい知識を得られていると感じます。どんな意見を言っても認めてくれる雰囲気があり発言に対する抵抗感がなくなりました。先生が授業中に投げかける質問は今まで考えたことがないような、自分の深いところに眠っている考えを引き出してくれるような内容が本当に多く、知識を得られるだけではなくて自分の考えを深めることもできます。● 学生から国際学科3年 伊藤 結希乃国際学科3年三島 華笑専門分野:19世紀フランス文学・思想史授業科目:基盤/フランス語応用学部/フランス文化論、フランス語講読槙野 佳奈子助教国際学部 機械システム工学科 材料力学㈵国際学部 機械システム工学科 材料力学㈵教育学部 地域居住論工学研究科 機械知能工学inging読読往還する授業実践高度化専攻)ロセス工学 Academic English ReadingAcademic English Reading(フランス文化論演習)(フランス文化論演習)欧米文化社会研究A欧米文化社会研究A国際学部国際学部● 教員から●最初はフランスへの単なる憧れからフランス語を学ぶようになりましたが、槙野先生の授業を通して食文化や自然、世界遺産への向き合い方など日本とフランスの違いを知り、フランスについて学ぶことの面白さを感じるようになりました。この授業は自分が考えなかったような部分にフォーカスして意見を交わします。新たな考え方に接することができて刺激になります。自分から積極的に考えるようにもなります。卒論に向け、自分が本当に興味が持てるテーマを見つけていきたいと思います。国際学科3年 久保田 愛菜*写真撮影のためにマスクを外しています。●大学に入ってから新しい言語を学ぶことは大事なことです。大学生になれば母語の論理は確立していますので、母語が完全なものになったときに新しい言語をゼロから学んでいくことに意義があると考えています。新たに始めた言語は一歩ずつでないと読み進められないので、必然的に論理的な読解ができると感じています。私たちの身の回りにある映画やマンガ、小説などについても漫然と触れているだけでは気づけないことは多いのですが、外国語というバイアスを使って論理的に読み込むことで新たな視点や気づきが生まれてくると思います。学生に伝えたいことは日常的な思考と学術的な思考をうまくつなぎ合わせていくことです。何気ない日常的な思考と、授業や研究での学術的な思考は、つい切り離してしまいがちです。でも同じ人間が同じ頭で考えていることですから、どこかでつながると思いますし、つながらないといけないと考えます。「文学は役に立たない」という意見がありますが、この「つなぎ」が自分の中でできていない場合に、そう感じてしまうのではないでしょうか。文学を通して学んだことを実生活に活かしていくことはもちろんできるわけですし、そのつなぎがうまくできれば、文学や哲学ほど役に立つものはないと感じています。学生にはそのことに気づいてほしいと思っています。

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