宇都宮大学 研究シーズ集 2022.04
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図1. 細菌のコミュニケーション機構(QS)最も単純な生物である細菌も、人間と同じように仲間とコミュニケーションを取っています。その一つにQuorumSensing(QS)と呼ばれる機構があります。QSでは、細菌はオートインデューサーと呼ばれる化学物質の「言葉」で周囲の細胞密度を認識し、集団になったことを感知すると、特定の機能を活性化させます(図1)。これらの機能の中には、病原性発現やバイオフィルムの形成など、人間にとって好ましくないものが多々存在します。本研究室では、QSの研究に基づいた、細菌機能の制御技術の開発を行っています。教育・研究活動の紹介微生物、特に細菌は、あまり表舞台には出てこないものの、食品の発酵、抗生物質などの薬剤の生産、環境浄化や生分解性プラスチックの合成・分解など、実は私たちの暮らしの様々な部分で役に立っている生物です。その一方で、植物や動物の病原菌も数多く存在し、これらの細菌は抑え込む技術が必要とされています。本研究室では、細菌の培養や分離、菌種の同定、遺伝子組み換えなど、細菌を用いた基礎から応用までの研究が可能な環境が整っています。最近では、生分解性プラスチック分解に関わる微生物の生態解明(図2)や、細菌を用いたバイオプロセスによる化成品の生産技術など、細菌を利活用した新しい分野にも積極的にチャレンジしています。今後の展望研究室のメインテーマでもある細菌間コミュニケーションに関する研究成果を、幅広い分野に応用できるようにすることが今後の課題です。例えば、植物病原菌のコミュニケーションを遮断することによる、新しい病原性抑制技術や、植物を病気から守る能力を持った植物保護細菌を微生物製剤として広く使用できるような展開を目指しています。社会貢献等・細菌やバイオテクノロジーをわかりやすく紹介する出張講義(小学生から一般の方まで)を行います。・細菌に関する各種技術相談を受け入れています。お気軽にお問い合わせください。(特徴と強み等)(社会活動特許等取得状況産学連携・技術移転の対応等)ライフサイエンス、環境・細菌間コミュニケーション機構の解析と応用・植物病原性細菌・植物保護細菌の機能解析と応用・生分解性プラスチック分解細菌の生態解明細菌の培養,細菌の単離,細菌叢解析,細菌の遺伝子解析,細菌の遺伝子組み換え日本生物工学会、日本農芸化学会、日本微生物生態学会日本植物病理学会、環境バイオテクノロジー学会細菌の遺伝子組み換え、遺伝子解析に必要な機器や技術を持ち合わせています。もろほしともひろ2021年11月更新TEL:028-689-6176分野研究テーマキーワード所属学会等特記事項URL: http://www.chem.utsunomiya-u.ac.jp/lab/bio/Mail: morohosi[at]cc.utsunomiya-u.ac.jp研究概要図2.生分解性プラスチック分解細菌が形成したバイオフィルムSDGs事例基盤工学科物質環境化学コース生物工学研究室工学部准教授諸星知広

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